料理にジェンダーギャップのない国は?
ジェンダー別にみるとどうかというと、日本の女性の調理頻度は9.3回でほぼグローバル平均と同じだが、男性の調理頻度は3.3回と、グローバル平均を約1回下回っており、男女の料理頻度の差は3倍になっている。これは世界的に見ると、かなり格差が大きい方だ。
世界158カ国の中でもジェンダーギャップが高い方から21番目と、嬉しくない順位だが、無理もないかもしれない。まだまだ性別の役割がしっかりとしみついた社会なのだ。
逆にジェンダーギャップがない国のトップ10は、タイ、ジャマイカ、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、スゥエーデン、米国、コンゴ共和国、オランダ、香港。北欧やオーストラリアなど、比較的労働時間の短い国が上位にきていることがわかる。これは心にも体にも快適なウェルビーイングな生活を実現しているということの証なのだろう。
日本に立ち返り、ジェンダーを抜きにした世代別の料理頻度を見ると、当然ながら熟年世代ほど頻度は高くなるわけだが、意外なことにZ世代と言われる25歳以下の若い世代の料理頻度が高い。その中間に位置する30代、40代が低いのが、子育て世代なのにと気になるが、最も時間のない世代と言えるのかもしれない。しかもZ世代の傾向は男性に限ると、2019年2.93回、2020年3.51回、2021年3.98回と急速な伸びを見せている。
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実際にクックパッドの調査担当者がインタビューしたところ、経済的な問題もあるが、健康志向に敏感であったり、ウェルビーイングに対する積極的な取り組み、また新しいスキルの獲得として、純粋に料理に興味を持つ若者も増えているということのようだ。彼らにとって、男子厨房に入るべからずは、遠い昔の時代のことなのであろう。日本にとっての明るい兆しである。
世界全体で男性の料理頻度は上がっている。若い層は収入が低いため、自炊する傾向にはあるが、純粋な料理への興味というのもあるのだろう。
一方、一般的な経済状態との相関は一概に言えず難しいのだが、コロナ禍における収入減や失業などを含めると、その間の富裕層の料理頻度が低かった。また、教育レベルや、都市部、農村部、郊外、都市などの住環境による違いを見てみると、女性では教育レベルが低いほうが料理頻度が高く、また農村部ほど頻度が高かった。
女性の料理頻度と教育レベル、住環境の関係を表した図
ところが、同じ設問を男性に向けた場合、それほど大きな差異は見られない。つまり、教育レベルが低く、農村部に居住しているほうがジェンダーギャップも大きいということが言える。