ビジネス

2022.05.27 08:00

14年前より販売台数「減」なのに、トヨタ最高益2.9兆円の秘密を見た!


「思想・技・所作」を巨大組織の隅々まで浸透させるために行った改革を、阿部は日本独自の組織形態「家元」の相似形であると指摘する。江戸時代に確立されたお茶や生け花と同じ「家元」である。これは「創業家の後継者」という意味ではない。まず、「思想・技・所作」を体現できるリーダーが頂点に立つこと。
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次に、お茶や生け花の流派に入る人たちは、一人ひとりが「上達したい」という成長志向がある。家元、大師範、師範を中心に、個人個人が「教え合う」という組織カルチャーをつくっている。他人を教えることで自分の技が磨かれる組織である。教え合うことが全体の技の向上につながり、個人の成長と組織の成長が同時進行となるのだ。

トヨタ復活の要因は?


今回のトヨタの決算と14年前の決算を比較すると、面白い数字が見えてくる。14年前は販売台数が8913000台。今回の決算では販売台数は8230000台。減少しているのだ。それなのに、利益は過去最高を更新している。これはトヨタのお家芸である「カイゼン」の進化が要因だ。工場の生産プロセスに「技」を個人個人が導入していくことで、徹底してムダを省いたことが一因である。

これを可能にしたのが数値目標ではなく、豊田社長の「もっといいクルマつくろうよ」という抽象的な言葉を使った目標だ。顧客のためのクルマづくりとは何か? これを現場から個人個人が考えるという組織につくりかえている。
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5月11日の決算説明会で、出席者の1人である近健太副社長CFOは「これまでの収益構造改善の積み重ね」と説明し、2022年3月期決算について、長年にわたる体質改善努力の結果であることを強調した。お茶や生け花の「家元組織」とは、日本独自の歴史をもち、海外には存在しない。最強のチームづくりとは、実は長い日本の歴史のなかの忘れられた知恵にあるのだ。

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