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2022.05.27 08:00

14年前より販売台数「減」なのに、トヨタ最高益2.9兆円の秘密を見た!


2001年、トヨタは生産台数で世界一になるために世界基本計画「グローバルマスタープラン」を発表している。先に大幅な生産台数増を決めて、その目標に向かって工場の数を増やす、「最初に台数ありき」の計画だ。工場をどんどん増やすので、従業員たちは目が回る忙しさになる。
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目標生産台数という数字に追われるため、「何のためにクルマをつくっているのか」という働く意味すら見失っていく。しかし一旦、数字に向かって動き出すと、なかなか人は疑問を感じにくくなるようだ。本来なら、これはトヨタの大転換であり、疑問を口にしてもよかったはず。

トヨタのビジネスモデルは、「ジャスト・イン・タイム(必要な時に、必要なものを、必要なだけ)」を根幹としたトヨタ生産方式であり、グローバルマスタープランとは逆だからだ。本来、トヨタは生産台数を増やす場合、まずは既存の生産ラインの「カイゼン」によって生産台数を拡大してきた。既存ラインの改善が限界となって初めて、新工場を建設することが徹底されていたはず。目標生産台数を達成するために、予め新工場を立ち上げるという発想は、トヨタのビジネスモデルとは逆である。

阿部の取材で豊田章男は「必要数」という言葉を使い、この考えに疑問を投げかけている。「ものごとには必要数がある。必要数があって、その必要数に対してどのくらいのキャパシティを設けるかと考えるのがトヨタの技です。拡大期にその思想がなくなってしまった」。
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つまり、メーカーの論理で「数値目標」がつくられているが、必要数の考え方は消費者側のニーズを考えていくというものだ。先に数字(=供給能力)の拡大ありきの発想が、品質問題に直結。また、供給能力(=工場の新設)を拡大したことで、リーマンショックにより、想像以上の「ムダ」を抱えてしまうことになった。よって、「過去最高益」という数字は大きな反動を生み出し、トヨタを苦しめることになったのだ。では、なぜ2022年の今年「過去最高」を築けたのだろうか。

トヨタが危機に陥った2009年、社長に就任した豊田章男の「必要数こそトヨタの技」という「技」にヒントがある。著者の阿部と彼が経営するスパークス・グループのアナリスト集団は、トヨタへの密着取材を通して過去14年間の組織改革と収益構造の変化を分析。阿部がたどり着いた結論は、トヨタが創業期からもっていた「思想」と、その後に培ってきた「技」と、トヨタのお家芸として工場で体系化されてきた「所作」を、社長の豊田章男が一体化させたことだという。
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