医療向け画像における多様性の欠如は、有色人種に害を及ぼすだけではない。何が正常なのかに関して、女性や医療従事者の混乱を招く可能性もある。
女性器の美容整形に焦点を当てたオーストラリアの研究によると、「患者が自分の性器が正常かどうかについて懸念を示している」と報告する医療従事者は、全体の97%に上る。そして、そうした医療従事者のうち、「性器が正常であるかどうかの評価や説明に自信がある」と感じているのは4分の3だけだった。
ピーナッツの創設者兼最高経営責任者(CEO)であるミシェル・ケネディ(Michelle Kennedy)は、「実際のところ、体型において、正常というものはない」と述べる。
しかし歴史的に見ると、女性はほぼ例外なく、白人で、細身で、毛がなく、若くて、健康な人として描かれてきた、とケネディは言う。この狭いイメージに当てはまらない女性は、必要な医療を受けられない危険性がある。
ピーナッツは自分たちでこの問題を解決しようと決めた、とケネディは話す。ピーナッツは、産婦人科医で「ハーMD(HerMD)」の創設者であるソミ・ジャベイド(Somi Javaid)博士と、ビジュアル・コミュニケーション・スタジオ「バイオティック・アートラボ(Biotic Artlab)」と協力して、さまざまな体の部位に関する「正常な」解剖学を正確に描写する画像を作成した。
新しい画像ライブラリーがターゲットとしているオーディエンスは、メディアや医療関係者、そして女性自身だ。
ケネディによれば、画像はどれも示唆に富み、衝撃的でさえあるという。なぜその画像にショックを受けたのか、すぐに説明したり理解したりできない女性たちもいるという。
自分の感情的な反応を振り返ると、女性たちは文字通り、今までこのような画像を見たことがなく、これほど多様な体型や体の部位があって、それが普通だと言われたことがないことに気づくことがあると、ケネディは言う。
画像そのものに対するショック以上に、女性の身体がどのように表現され、あるいは表現されないかという現状を受け入れてきたことにショックを受けている、とケネディは話す。
「すべての女性が、人生のある時点でこれらの画像に出会い、自分が見られている、自分が表現されていると感じ、最終的には、私たちが受け入れてきたこれらの古風な画像が過去のものになることを願っている」とケネディは言う。「私たちは、患者や医療関係者だけでなく、社会全体への啓蒙を願っている。形や大きさがまちまちで、アイデンティティもさまざまな女性や母親が表現される必要がある」