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2022.05.22

多様な女性たちを表現する、医療用画像の新ライブラリー

Getty Images

「美は、見る者の目の中にある」ということわざがあるが、医学の教科書で美が十分に表現されているとは言いがたい。2022年5月はじめに開始された新しい取り組みは、それを変えることを目的としている。

「リフレーミング革命(The Reframing Revolution)」は、ロイヤリティフリーのデジタルギャラリーであり、女性と、女性の身体の幅広い多様性を反映する画像を集めている。女性のためのオンラインコミュニティ「ピーナッツ」が作成したこのギャラリーには、さまざまな肌の色、体型、体毛を持つ女性の画像が何百枚も含まれている。また、高齢者やトランスジェンダー、ノンバイナリーの人たちの身体の画像も含まれている。妊娠や出産、更年期障害、その他の条件にも対応している。

調査によると、医学の教科書に掲載されている画像のうち、ダークなの肌色の人の割合は5%未満だという。今回のギャラリーの画像は、一般的な米国の人種別人口分布を反映しており、黒人が20%、その他の有色人種が17%。そして白人は全体の75%となっている。

人間のセクシュアリティに関する大学レベルの教科書における肌色表現について2022年に行われた調査では、ダークな肌色の画像はわずか1%だった。2021年に行われた「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で使用されている画像のレビューでは、専門分野や地域を問わず、白人以外の肌の画像が18%だったが、なかには、白人ではない患者の画像がゼロという地域もあった。

近年、人種や民族による健康格差に注目が集まっており、大企業や医療機関では、健康の公平性を優先した取り組みが行われるようになっている。

しかしそうした関心は、医学的なイラストや画像にはまだ及んでいない。誤った表現、あるいは限られた表現がもたらす臨床的影響は深刻なものになりうる。

たとえば皮膚科では、有色人種における誤診や診断の見落としは、肌の色に起因していることが多いようだ。調査によると、有色人種が皮膚がんにかかる確率は他の人種より低いかもしれないが、診断が遅れたり、皮膚がんのリスクに対する認識が不足しているために、皮膚がんでの死亡率が高くなることがあるという。
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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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