ゴミをまったく出さない「ゼロウェイスト」のレストランと聞くと、運営する立場であれば「実現が難しそう……」と、お客さん目線であれば「意識が高く、値段も高そう」と思うのではないだろうか。もちろん昨今、何をするにも持続可能性や環境への配慮が求められる。だが、それらに気を配りすぎるあまり、手間やコストが掛かってしまい、なかなかやりきれないというケースも多い。
今回は、ゼロウェイストをコンセプトとした同店を成功させた4P’sコーポレーション カンボジア代表の久保田和也氏に、立ち上げの経緯や運営方法、経済的なメリットやクリエイティビティについて話を聞いた。
「私たちが、カンボジアで店舗をオープンさせるにあたりまず考えたことは、現地の社会問題を少しでも解決できるような形でお店が展開できないか、ということでした。ベトナムで確立したレストランのスタイルをそのまま展開するというのでは、カンボジアにわざわざお店を作る意義が見出せませんから」と久保田氏。
そのような想いを持って現地に乗り込みリサーチを進めていく中、カンボジアではゴミ問題が深刻化していることが明らかとなった。焼却設備やリサイクルのインフラが整っていないため、首都プノンペン近郊の廃棄物埋立地はほぼ満杯。レストランとして“ゼロウェイスト”を追求し、それを人々に発信していくことで、この問題に一役買えるのではないか、と考えたという。
ゼロウェイストのコンセプトの落とし込みは、店舗の建設段階からスタートした。建材はプラスチックゴミからリサイクルされたものを使い、机や椅子、カトラリーボックス、スパイス入れなどの家具も、プラスチックゴミを特殊な技術で固めた素材のものを使用。それにより、3トン以上のプラスチックゴミのリサイクルを実現した。
プラスチックゴミを固めた資材で作られた、ベトナムを拠点とするプラスティックピープル社製の家具
また、カウンターテーブルのテラゾーという人造大理石には、捨てられたガラス瓶を再利用し、それが美しいアクセントとして機能するように開発した。その他にもフローリングに廃材を利用したり、廃棄される革製品から作られたビルホルダーを活用するなど、細部にまでこだわった。