まだ100%ゼロウェイストを達成することはできていないが、お客さんからは「カンボジアで20種の分別はすごい」「カンボジアの問題に向き合ってくれてありがとう」といった好意的なコメントが多く寄せられており、教育関連や政府関連からの問い合わせもあった。
左が一人のお客さんが通常出すゴミの量。右はゼロウェイスト取り組み後のゴミの量
レストランという業態で、ゼロウェイストを目指すことは非常に難しい。ゴミの量が多いことに加え、食品衛生や感染対策にも十分な配慮も必要だ。
「実際にゼロウェイストのレストランを立ち上げてみて、本当に考えることが多岐に渡り、通常のお店作りの5倍くらい大変でした。それでも、そこから得たノウハウやネットワーク、クリエイティビティ、経済的なメリットはそれを超えるものがありましたし、手応えも感じています」
この一連のプロセスや情報は、90ページにもわたる「4P’s Sustainability Report」という冊子にまとめられ、Pizza4P’sのSNSやWebサイトで発信されている。ゼロウィストの達成率はもちろん、全店のサステナビリティに関するリザルトやノウハウなどが事細かに綴られており、同じく店舗経営を考える人にとってはリアルで有益な情報となるだろう。また、事前に問い合わせれば、店の見学にも対応している。
「COVID-19の影響で世界の分断が進み、何かとギスギスしている世界情勢ではありますが、みんなで社会課題を楽しく、クリエイティブに解決していく輪が少しでも広がっていけば良いなと思います。
何よりこのようなプロジェクトを国や人種を超えて取り組むことで、世界の人々が手を取り合って、自分たちの住むこの地球について思いを馳せることは難しいことではない、その希望はまだまだあるのではないか、ということを微力ながら証明していきたいですね」
久保田和也◎大学卒業後、アパレル業からシンガポールの飲食系の会社に転職。その後、ベトナムのPizza4P’sで、オペレーションからIT、店舗開発、新規事業などを経験。海外生活8年目となる現在、Pizza4P’sを展開する4P’sコーポレーションの海外開発担当で、カンボジアの代表を務める。
連載:クリエイティブなライフスタイルの「種」
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