同社は、リクルート出身のCEO、竹内孝太朗と、高校の同級生でグーグルのエンジニアとして働いていた畔柳圭佑(CTO)が2016年に設立。開発したモノグサを導入した教室は、2019年末には70に過ぎなかったが、2020年末には2700、2022年4月には4000を数え、同社は急成長を遂げている。
これまでモノグサは私立校や、首都圏を中心に展開する市進学院のオンラインコース、関西圏大手の京進といった学習塾で利用されてきた。明光義塾では、2021年に発表した中期経営計画にモノグサを利用していく旨が記された。
この4月からは、代々木ゼミナールの大学受験コースでも全面導入され、墨田区や中野区をはじめ、公立校でも10校以上で使われ始めている。
どんなものか簡単に説明すると、まずモノグサのアプリに、覚えたい情報を登録することで、自動的に数パターンの問題が作成される。
例えば、「歩く(Walk)」という英単語を覚えたい場合、最初はヒントのある状態でスペルを記入する問題、次に4択から正しい語句を選ぶ問題が出題される。
これに解答すると一段階難易度を上げた形式での解答が求められる。最後は、ヒントなしで「歩く」のスペルを入力するといった具合に、AIが判定する個々人の習熟度に合わせ、難易度が変わっていき、その過程で記憶が促されていくというものだ。
提供=モノグサ
モノグサを導入する教育機関は急増しているというものの、こうしたテクノロジーと教育を掛け合わせたEdTechの市場には、スタートアップだけでなく大手企業も参入している。竹内たちは、いかにしてこの業界でモノグサを浸透させているのだろうか。
目を見張るモノグサ導入の成果
起業のきっかけは2012年に遡る。当時リクルートで海外案件に携わることを目指していた竹内は、英語学習用の英単語帳を探していたが、書店に並ぶのはTOEICや英検など限定されたジャンルに特化したものだけだった。
疑問を抱いた竹内は、さまざまな目的別に作成できる英単語アプリをつくろうと考えた。グーグルに入社が決まっていた畔柳の自宅を毎週訪れ、アイデアの壁打ち相手になってもらっていたという。
「彼とは高校1年生の時に同じクラスだったのですが、別々の大学に進学すると、今度は起業サークルで再会しました。彼は東京大学に入学していたのですが、そのとき周りの東大生からプログラミングの領域で神のように扱われている姿を目撃したのです」