「鵜匠はアーティスト」。チャップリンも称賛した伝統漁法 長良川鵜飼い開き|5月11日

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毎年5月11日は、岐阜県の長良川で鵜飼開きが行われる日です。鵜飼(うかい)とは、人間が篝火(かがりび)をたいた船に乗り、飼い慣らした鵜を操って川の魚を獲る漁法のこと。長良川の鵜飼いには1300年以上の歴史があるといわれており、獲れた鮎は献上品として重宝されてきました。

室町時代には将軍や時の権力者らが夜に行われる鵜飼の幻想的な風情を観覧することも増え、織田信長によって鵜飼は単なる漁法にとどまらない役割を与えられました。武田信玄からの使者を鵜飼観覧に招き、観覧後は鵜飼で獲れた鮎を信長自ら確認して甲府に届けさせるなど、「もてなし」の手段として鵜飼を用いたのです。

その後も、徳川家康・秀忠親子も観覧したと伝えられており、鵜飼でとった鮎は将軍家に献上されるようになりました。松尾芭蕉も長良川の鵜飼いを観覧して「おもしろうて やがて悲しき 鵜舟かな」と詠んだと伝えられています。

明治時代になると天皇にも鮎が献上され、1890(明治23)年には宮内省によって長良川の3カ所が御猟場として定められました。長良川の鵜飼はその後も喜劇王のチャップリン、英国皇太子など、国内外の賓客をもてなし、楽しませることとなりました。チャップリンは生涯で2回も観覧するほど気に入り、鵜匠を「アーティスト」と呼ぶほど称賛したと伝えられています*。

篝火のもとで伝統装束に身を包んだ鵜匠が行う長良川の鵜飼は、10月15日まで行われます。

*出典:https://www.ukai-gifucity.jp/ukai/

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執筆協力=アステル

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