──Jリーグでも、博報堂DYメディアパートナーズグループ、楽天、DAZN・ミクシィが動画NFTを販売しています。なぜそちらには参画しなかったのでしょう?
「サッカーじゃないんですか?」と、これまで山ほど聞かれてきました(笑)。簡単に答えると、パ・リーグさんと我々の思惑が合致したからです。
彼らはパ・リーグTVというチャンネルを持っていて、コロナの影響で来場者数がどこまで戻るのかという懸念がある中、ファンとのデジタル接点を強化したいと考えていた。我々は知名度、人気、鮮度の高い、あるいは権利が整理されているコンテンツを継続的に生むことができる競技から始めたいと模索していました。
タイミング、スピード感も双方共通していました。
パシフィックリーグマーケティング、メルカリ共同記者発表会(写真右より)プロ野球解説者の里崎智也氏/株式会社メルカリ執行役員NFT担当、株式会社メルコイン取締役の伏見慎剛氏/パシフィックリーグマーケティング株式会社代表取締役CEOの根岸友喜氏
──試合映像以外をコンテンツ化する予定はあるのでしょうか? 北海道日本ハムファイターズの「きつねダンス」が話題になり、ニーズがあるかなと。
まさに考えていたところでした。球団のバッジのようなもの、引退選手のプレー動画なども検討しています。今後いろいろなものをNFT化していくイメージを持っています。
また、NFTホルダー向けのサービスも視野に入れています。スタジアム観戦との連動企画など、さまざまなアイデアやサービスを提供したいと考えています。
──NFT事業としては、今後どう広げていく予定でしょうか?
プロ野球でもより広範に、例えば7月からセ・パ交流戦のコンテンツ販売も始めました。
また、パ・リーグとは互いに独占でやっているわけではなく、我々としても野球以外をやらないと決めているわけでもありません。サッカーはもちろんのこと、マイナースポーツにも興味があります。
そして、ゲームやアート、エンタメ領域も検討テーマとしています。さらにはコンテンツとしての用途以外のNFTにも目を向けていきたいと考えています。
──一見横並びに見えるスポーツNFTですが、手がける会社によって、目指す未来像が異なっています。メルカリならではの独自性は?
もともとメルカリというサービス自体が、自分にとっては不要なものが、実は他の人にとっては価値あるものでした、というマッチングをしてきたマーケットプレイスなんですね。資産でなかったものを資産化するということをCtoCのマーケットプレイスを通じてやってきた。
では時代の変化の中で、個人資産とは?と考えてみると、物理的なものからデジタル化していく流れはますます加速するだろうと。
例えばオンライン上で持っているアカウントやライセンス、会員権など、今後、個人資産におけるデジタルアセットが占める割合は、どんどん増えていく。
そうなった時にマーケットプレイスを本業とする我々としては当然、デジタルアセットに関する知見を持った上でお客様の変化に対応していかなくてはなりません。その第一歩として、「パ・リーグ Exciting Moments β」を始めました。
将来的には服やスニーカーといったフィジカルな資産から、NFTのようなデジタルの資産まで全て、安心安全に売買できる仕組みを作っていきたいと考えています。