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2022.05.31

フェラーリ「296GTB」、次世代のスーパー・スポーツカーの実力は

セビリア・モンテブランコ・サーキットでフェラーリ「296GTB」を試乗

燦々と降り注ぐスペインの太陽の下、流麗なスタイリングのスーパー・スポーツカーと対面した。

ロシア情勢を受けて、往路は2回の乗り継ぎをし、セビリアまで丸1日かかる旅程となったが、フェラーリが鳴り物入りで発表した新型車「296GTB」を目の前にした途端、そんな長時間の労力も、瞬時に吹っ飛んだ。1963年製の名車「250LM」にインスピレーションを得て、現代的にアップデートされた姿に目を奪われたからだ。

ハイブリッドのイメージが変わる


“Driving pleasure comes first.” それが、フェラーリが「まったく新しいセグメント」とする「296GTB」に試乗した後の率直な感想だ。

フェラーリ「296GTB」

2021年6月、フェラーリの次世代を担うモデルとしてこのクルマが発表されたときは、まさかのプラグイン・ハイブリッド(PHV)ということもあって、大きな注目を集めたのは言うまでもない。同時に、ファンにとっては“ドライビング・プレジャー”が最大の懸念点として浮上した。

しかし、それに関してはなんの遜色もないどころか、“ハイブリッド”と聞いて想起される概念が変わったというと大袈裟に感じるかもしれないが、少なくとも、従来のハイブリッド=エコカーというイメージとは異なる次元にある。

もちろん、電気モーターのみで走るeDriveモードでは25kmのEV走行を実現し、CO2排出量を低減するといったサステナビリティにも配慮してる。が、走る楽しさを提供する点において、従来のフェラーリ同様、一切の妥協は感じられなかった。

試乗レポートの前に、このクルマの位置づけをおさらいしておこう。フェラーリ・ファンにとって、V6エンジンをリアミドに積むと聞けば、過日の名車である「ディーノ」の車名が脳裏に浮かぶ。排気量+気筒数から名付けた「296」というモデル名もまた、過去の歴史にならっている。しかし、フェラーリは「先代モデルは存在しない」「まったく新しいセグメント」と言い切っている。

その理由は、「ディーノ」がフィアット製V6ユニットを搭載し、正式にはフェラーリとして認められなかったモデルであったのに対して、「296GTB」は自社製V6ユニットを積んだフェラーリの基幹モデルとして位置づけられており、なおかつ、持続可能性にも配慮したスーパー・スポーツカーであるからだ。
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文=川端由美

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