ビジネス

2022.04.14 16:30

いま、社長が最も口にする言葉とは? ビジネスにおけるバズワード


経営者のビジョンが分かる注目ワード


多く使用された言葉の中から経営の指針に関わる言葉も多く使われた。

[ステークホルダー]
頻出度65位(430語中)/株主など企業の直接的な利害関係者の意味として使われる言葉は、事業を超えた理念に及ぶことも。例えば、鹿島建設の設定するビジョンステートメント「過去に対する敬意」「未来への挑戦」は、若手中堅の社員によってつくられた。素人の泥くさい言葉で示されたことが、逆にステークホルダーの心に響くものになるという。

[コロナ]
頻出度50位(430語中)/コロナ禍に翻弄され、未だ収束が見えない2022年。多くの企業がウィズコロナを見据えた修正を図っている。そのためコロナという言葉は非常に多く散見される結果に。セコムでは、『さまざまな分野でのデジタル化やICTの活用といった「コロナ禍の社会変革」需要もとらえ、 社会課題の解決に寄与したい』とする。

[ガバナンス]
頻出度119位(430語中)/長期的、安定的な成長へ経営の刷新が求められる時代に、ガバナンスの領域は重要度
を増している。組織の改変や監査体制などの取り組みをステークホルダーに周知させることに注力する企業がほとんどだ。そのために役員、社外取締役に女性を登用することも特徴の一つとなっている。

経営者的“感情”ワード4選


頻出度は高くなくても、熱量が伝わる感情のある言葉に注目した。

[使命]
頻出度132位(430語中)/大賞となった「社会課題」同様、「社会+○○」というメッセージが多いなか、使命という言葉は社会的使命といった使われ方など企業の打ち出す決意として多用された。自らの事業の価値を再確認し、その発展が社会をよくしていくという使命だ。多くの統合報告書では冒頭から熱く使命が発信されている。

[社員]
頻出度35位(430語中)/社員を人の財と記し、企業とともに成長し、活躍でき、そして守るべき存在であるかを熱く発信されるケースは多い。「企業価値向上の最大の源泉は、サービスを提供する“社員(人財)”」(セコム)ととらえることや、働きやすい環境や成長のための支援など、社員という言葉の周りに希望を示す表現がセットとなっている。

[一人ひとり]
頻出度208位(430語中)/感情ワードの「社員」とセットでの発信が多い。主に、「成長」をうながすための取り組みと、「ガバナンス」に関係した教育に関するものにわかれるが、いかに社員を大事に考え真摯に向き合っているかがわかる。他方、消費者やサービスを受ける側の「個」に対しての取り組みとしても「一人ひとり」は頻出した。

[想い]
頻出度240位(430語中)/企業やそのトップが発信する理念やビジョンに付随する言葉であり決意でもある。「2030年に向けた中期経営計画ではイオンのありたい姿を実現するためにさまざまな想いを込めています」(イオン)のように、人々の接点が薄れる時代だからこそ、温かみを伴うメッセージを打ち出す企業も多いのだ。

文=本田賢一郎、フォーブス ジャパン編集部 解析=サステナブル・ラボ

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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