キャリア・教育

2022.04.15 07:30

米Amazon社員が語る、アメリカ就職 Vol.2


竹崎:インターンを勝ち取るためには専攻というか、専門性が必要だということですよね。その認識を私はもっていませんでした。そこは決定的に日本のインターンシップとは違う気がします。要は、仕事でつかう専門性を学部の時点で求められるというか、そのフィールドをやっているかを見られるということですよね。

加瀨:そうですね。私は今、インターン生を面接する立場なのですが、肩書きや今何を学んでいるかではなくて、実力が大事だと感じます。例えば、その方が哲学のような文系を専攻しているとしても、コーディングをするスキルがあれば喜んで受け入れます。私自身、インターンを受けた当時はかなり専攻を気にしていたのですが、コーディングの練習をしっかりして面接に臨んだら合格できました。アメリカはどこまでいっても、実力社会なのですよね。

竹崎:専攻は、大事な要素ではあるけど全てではないということですね。日本の学生は、大学を学校で選ぶことが多くても、専門性という観点で深掘りしている人ってあまり多くないと思うんですよね。私もそうでした。そういう意味では、アメリカの大学に留学するならば、学部なり専攻というものを意識していないと後々困りますね。

加瀨:まさに。ビザの点でも、学部選びはキーです。というのも、アメリカの大学を卒業した人には、学生ビザのまま卒業後もアメリカで働けるOPTという制度があります。私自身もこのOPTを利用して、アマゾンに入社しました。

このOPTというのは1年間という期限付きなのですが、STEMフィールド、つまり数学や科学のような理系分野を専攻した場合、1年を3年に延長することができるんです。これを、Stem Extentionといいます。ところが、私の専攻である地理情報学は、地理学の中のひとつとして文系に分類されるので、私はStem Extentionを利用することができませんでした。

竹崎:加瀨さんがStem Extentionを利用できなかったことは残念ですが、STEMフィールドであればOPTを3年に延長できるというのは良い情報ですね。3年のうちに就労ビザをとれば良いわけですから、戦略的にやっていけば十分アメリカ企業から内定をもらえそうです。

中里:しかし、OPTが1年ということは、就労ビザを1年で取得しないといけないわけで、それはかなりハードルが高いのではないでしょうか。STEMフィールド以外で、OPTが1年しかない中、新卒で就職したケースを私の周りでほとんど聞いたことがありません。

加瀨:私の周りでは、OPTで企業からオファーをもらうのはそこまでレアではない印象がありますね。同じく地理学専攻の友達で、OPT経由で大手のIT企業のエンジニアになった人がいます。ベイエリアとちょっと違うのかもしれません。

竹崎:その後のビザはどのように進めていきましたか。

加瀨:ここからはH1B、いわゆる就労ビザの話になっていくのですが、アメリカの就労ビザは抽選制で、年によって変動はありますが、1年に1回、毎年4月頃にその抽選結果が出ます。

私の場合、卒業の時期が良かったので、1年のOPTの間に2回、H1Bの抽選を受けることができました。それに受かって就労ビザが発行されたらアメリカに残れるのですが、これまた運悪く2回とも落ちてしまったのです。

そうこうしているうちに、OPTの期限が迫ってきて、さあどうしようと。これはアメリカから出るしか道がないぞというタイミングで、当時2年以上付き合っていた彼と結婚することになりました。今はグリーンカードを申請しているところです。
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文=伊藤みさき 構成=竹崎孝二

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