「世界の英語力」ランキング最新版発表。データから見えた日本の現実は?

Getty Images

「あなたは英語が得意ですか?」まったくもって耳の痛い質問です。できることなら答えずに済ませたいのが正直なところ。少なくとも私は逃げ出したいですが、読者の皆さんはいかがでしょうか。

今週から始まる「データで見るワールド☆トレンド」では、ビジネスや政治経済、ライフスタイル、テクノロジーから小ネタに至るまで、世界の今をデータとグラフでお届けしていきます。記念すべき第一回目は、世界への扉でもある英語の「今」に迫ってみましょう。

上がるどころかぐんぐん追い抜かれる日本、さすがに頑張らないと……


さて、英語は世界の共通語として広く普及している印象がありますが、実際のところはどれくらい使われているのでしょうか? 世界で11億人に上る中国語話者に比べると、「世界言語」と言われる英語は、第一・第二言語を足し合わせても、その話者は14億人に過ぎないのですね。話者の数=世界への影響力とは一概には言えませんが、まず知っておきたい数字ですね。

さて、英語運用能力に関して世界規模で定点観測を行なっているEducation First English Proficiency Index (EF EPI) では、英語を第一言語としない112カ国が登場し(総勢200万人が参加)、「Very High」から「Very Low」まで5段階でランク付けを行なっています。我が国日本や、アジアの近隣諸国の英語力の現在地はどうなっているのでしょうか。下記のインフォグラフィックをご覧ください。


インフォグラフィック提供: Statista Japan

日本は「Low」のカテゴリーで……


グラフにあるように、シンガポールのスコアは635点、今年のランキングでは世界4位でした。ヨーロッパでは、オランダ、オーストリア、デンマークがそれぞれ1位、2位、3位にランクインしています。アフリカ大陸では、南アフリカが606点で最も高い英語力を示し、ラテンアメリカではアルゼンチンが556点で1位、中東諸国ではレバノンが536点で1位となりました。

上記のレポートを見ても、なかなか日本が見当たらないのです。ページをしばらく捲っていくと「Low」のカテゴリーで78位にランクインしていることがわかります。そしてその前後には、マダガスカル、ニカラグア、インドネシア、スリランカといった国々が僅差で並んでいます。

では、日本の78位をどう評価すればいいでしょう。2020年のランキングを振り返ってみてみると、日本は55位だったのです。こと英語力においては、世界での相対的なポジションが大幅に下がっていることが明らかになっています。

お隣の韓国と中国を見てみましょう。韓国は2020年の32位から2021年の37位、そして中国は2020年の38位から2021年に49位と順位を下げていますが、いずれも「Moderate(中程度の英語力)」との評価という点は変わっていません。地図上での色分けも水色(中国・韓国)と黄色(日本)と非常に目立っていますね。

ちなみに、「Very High」のスコアを獲得するためには、社会的な場面でニュアンスのある言葉を使い、高度な文章を読み、英語のネイティブスピーカーと契約交渉ができることが求められているそうです。私の上司は英語力で1位にランクしたオランダ出身なのですが、まさにニュアンスに富んだコミュニケーションに長けた人物です。

中程度のスコアには、歌の歌詞の理解、専門分野の会議参加、専門的なメールを書くなどが求められています。反対に「Very Low」には、自己紹介、簡単な標識の理解、外国人旅行者への基本的な案内が含まれるそうです。

コロナ禍で外国人旅行者に話しかけられることも少なくなりましたので、私自身も咄嗟に案内ができるか、あまり自信がありません……。

上述のレポートでは、英語力とイノベーション創造力や生産性との関連、そして業界や職種ごとの傾向なども分析されていました。身も蓋もないですが、英語力が高いことによるメリットは計り知れないという結果となっています。ぜひ、お手に取ってご覧になってみてください。

(世界最大級データポータル「Statista」の記事はこちら:English, The Global Language? )。

文=津乗 学

ForbesBrandVoice

人気記事