ブランコや砂場より、「子供たちの工事現場」
デンマークの造園家で複数の公園を建築してきたカール・テオドール・ソーレンセンは1931年、一般的なブランコや砂場は大人を満足させるだけで子供の存在を置き去りにしていると指摘した。そして1943年、ソーレンセンはコペンハーゲンに「子供たちの工事現場」を作った。砂利や砂、釘、ハンマーが満載の公園である。
1949年には、米国ミネアポリスにも同じような公園ができた。とはいえ、大人が子供の遊びを管理・邪魔しないという考え方は、あまり普及していない。今でも標準的な公園には「KFC」(遊具〈Kit〉、柵〈Fence〉、敷物〈Carpet〉のこと)があり、このような公園が主流なのだ。
1970年代にフランソワーズ・ドルトは子供の生活を牛乳の容器と比較した。本人の意見も聞かないまま、ただ引きずってあちこち連れ回すだけだからだ。それから30年経っても、人類学者のマーサ・ガットマン(Martha Gutmann)とニン・ド・ケニンク=スミス(Nin de Kenink-Smith)は、現代の子供たちの世界には楽しい伝達手段もスノーボードもiPhoneもあるものの、自分で経験したり失敗したりする権利はないと書いている。
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従来の学校計画が子供から自然と触れ合う機会だけでなく冒険心までも奪っていることを懸念したニューヨーク市は2008年、セントラルパーク内に「ウエスト110丁目プレイグラウンド」を開園した。体をひねりながらジャンプしても落下しても平気な場所だ。
北ウェールズでは、10代の子供をふたり持つ母親で、幼稚園の教師でもあるクレア・グリフィスが2012年に「ザ・ランド」を開園した。ゴミ捨て場のような場所で、子供たちは自由にやりたいことができる。火で遊んでもいいのだ。2014年、グリフィスは『ガーディアン』紙の取材に対し、「ここでは、善し悪しを判断されたり非難されたりすることを恐れずに、子供たちが自分の目標に向かって試行錯誤しながら進むことができます。だから、私はこの場所が気に入っているのです」と語っている。この頃には、彼女の「ザ・ランド」は英国中に知られる場所になっていた。