「ノーム・クリティカル教育」初採用。スウェーデン「ニコライガーデン」
スウェーデンの歴史的拠点であるストックホルムで1998年から運営されているニコライガーデン(Nicolaigården)は、初めて「ノーム・クリティカル教育(※訳注「標準」と見なされていることに批判的な目を持ちながら行う教育)」を採用した公営の幼稚園だ。
ここでは、社会、人種、年齢、宗教、性別に対する固定観念を否定する。「男の子」や「女の子」や「赤ちゃん」などの区別はなく、ただ「フレンド」と呼び合う。「ここでは、子供から人形も車も取り上げません。みんな何をしてもいいんだよ、と伝えます。女の子は男の子と同じく高い場所まで登っても、同じくらい大声を出しても構いません。男の子も女の子のように泣いてもいいし、バレエをしたりピンク色のブラウスを着たりしてもいいんです」と園長のロッテ・リーリン(Lotte Raelin)は話す。「私たちは子供を変えようとするのではなく、子供に目を向けようとしています。どの子も唯一無二の存在だと信じているので、それぞれの特徴を伸ばすことを目指しているのです」
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現在、各国の首都で次々と新たな庭園や公園が開発され、さまざまな社会・文化的背景を持つ人が利用できるようなスポーツクラブ、幼稚園、家族向け娯楽施設が作られている。
ノルウェーのオスロでは、建築会社スノヘッタが新たなオペラハウスの屋上にローラースケートやサイクリング用のコースを作った。同じくノルウェーのセナリオ(Scenario)が設計したアイスクリーム店は、床が氷を模した素材で覆われ、レジの前は木製デッキでせり上がっている。子供でも支払いやすい構造になっているのだ。
香港の学習センターでは、設計家の何宗憲(ジョイ・ホー)が子供も大人も利用できる2種類の内装を施した。ここでは、子供と大人が一緒に使えるように、洗面器は巨大な噴水のような形をしている。
ストックホルムでは、ベビービョルンの創業者であるビョルン・ヤコブソンとリレモア・ヤコブソン夫妻が、ストックホルム宮殿からボートで1時間半の場所にある群島を私財で買い取り、家族向けの緑地公園を整備するとともに、レストランとコンサートホールを備えた現代美術館、アーティペラーグを建設した。この施設でヤコブソン夫妻が特に気に入っているのは、天然花崗岩のブロックに設置された赤ちゃん用のおむつ台だ。広々としていて温水も冷水も流れるため、おむつを替えるだけでなく、赤ちゃんのお尻を洗うこともできる。子供用の石けんと香料は公園内で育成したハーブ製で、環境に優しい。