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菊地ユキ氏と長男大夢君(写真:須藤明子)

2020年、光文社から刊行され、ロングセラーとなっている『発達障害で生まれてくれてありがとう〜シングルマザーがわが子を東大に入れるまで』の著者である菊地ユキ氏。本書には、地域で初めて発達障害の診断を受けた長男、そして次男との経済的にも時間的にもまったく余裕のない暮らしのなか、女手一つで子育てを続けた日々の笑いと涙が縷縷として綴られている。

本書の「はじめに」で、菊地氏は次のように書く。

「母子家庭で、金銭的にも精神的にも、余裕なんてこれっぽっちもないのに、とてつもなく手のかかる息子を持って、あのころの私はどうしていいかわからなくなっていました」

絶望感もある毎日の中、しかし大夢君と真剣に向き合ううち、彼は大好きな科目(数学)を見つけて成績を伸ばしていく。そしてやがては北海道大学を主席で卒業し、最高学府、東大の大学院生とまでなるのである。

とても1人では生きていけないだろう、と思いつめた日々もあった中、菊地氏はどうやって長男をここまで育てたのか。──彼女と大夢君(そして次男)の生活のそこここには、たとえ数値的には「障害」がとくになくても、子育てに日々悩むわれわれ親たちへの指針や励ましが満ち溢れているに違いない。

以下、『発達障害で生まれてくれてありがとう』の読者の1人で、ADHD(発達障害の概念のひとつ)の長男の子育てに奮闘中のシングルマザーであるロス敬子氏から菊地ユキ氏への、メールによるインタビューを紹介する。

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ロス敬子氏(以下「────」):13歳になる長男には姉(編集部注:ロス氏の長女15歳は現在、「中学生陸上」でもっとも期待される国内ランナーである)がいるのですが、検査の結果、彼女は数値的に弟とは正反対の特徴を持った子であることがわかりました。その姉も、ADHDの弟を持ち、悩みながら、ようやくそれも弟の個性として受け入れることができるようになってはきたようですが──。

菊地家の場合、弟さんには、お兄さんの特徴や対応について説明されましたか? された場合、弟さんはそれを理解できましたか?

菊地ユキ氏:小学生の頃から、2人の間には、「周りと同じことをしても大夢だけ対応が違う」「出かけた先で大夢の行動で思うようにいかない」「弟だけいつもおばあちゃんに預けられる」ということが増えてきました。

そんなとき、次男には「大夢は障害があるの」という漠然とした言い方で伝えました。

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菊地ユキ氏

小学校高学年になった頃には、ADHDという障害であることを簡単に伝え、「大夢の行動をわかってほしい」ということを話したと記憶しています。

次男もまあ、子どもなので、反抗的な態度もしていました。たぶん、理解は出来ていなかったとは思います。

具体的にどうしていたかというと、たとえば日々の生活の中で、大夢の持ち物をちょっとずらしたとか汚したとか、普通だとそんなでもないことで本当に大きな喧嘩になるので、そういうときはまず、弟には「上に行け」と言って、まず大夢を怒ります。「これをちょっとずらしたくらいで何よ」って。

でそのあと弟を呼んで、「大夢は発達障害なんだから……」と改めて話します。

構成=石井節子 編集協力=長谷川寧々

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