また、コーヒーベースは94%が腸の健康を促進する不溶性食物繊維だ。一方、1本22gのコレハバーに含まれるカフェインは約50mgで、レギュラーサイズのコーヒー1杯の半分程度となっている。
コーヒーベースの製法は特許出願中であり、非公開だ。だが、石垣CEOは、特別な装置も必要としない「シンプルで、汎用性が高い方法だ」と説明する。そして、その方法は、偶然に発見されたものではないという。
1739年に麹の製造を開始した先代(現CEOの父)は、健康的な発酵食品の生産を目指し、1984年にソーイを設立。東京大学で博士号を取得した石垣CEOは、英サウサンプトン大学の研究員を経て、2000年にソーイに入社した。
自身のDNAには「目についたものは何でも、どう発酵させようかと考える」ことが組み込まれているという同CEOにとって、コーヒーかすもその対象外ではなかったということだ。
世界中が求めるアップサイクル方法
石垣CEOは、このアップサイクル方法をより多くの人の間に広めたいと考えている。ソーイはすでに、環境に配慮する日本の複数の企業から、何件かの問い合わせを受けているという。
ただ、アップサイクルの方法は、世界中で求められているものだ。例えば、カリフォルニア州では今年1月から堆肥作りを目的として、州内すべての自治体に対し、全世帯・企業から生ごみを回収することが義務づけられた。
世界中で出るコーヒーかすをソーイの技術でアップサイクルすることができれば、年間1兆7000億本のコレハを生産できることになる。麹の利用は、循環型経済に一歩近づくため、容易に取り入れることができる方法なのかもしれない。