ウクライナ出身の後払いフィンテックAffirm 創業者が直面する課題

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後払い決済のフィンテック企業「Affirm」の創業者、マックス・レヴチンは、ウクライナがまだソビエト連邦の一部だった時代にキエフで生まれ育った。レヴチンが16歳になった1991年に、反ユダヤ主義から逃れるため、彼は家族と共に米国に亡命した。

「国境でソ連の警備兵から、お前たちは2度と国に戻れないぞと怒鳴られたときが一番怖かった」と彼は話す。

レヴチンは、ロシアの侵攻によって数百万人のウクライナ人が国外に退避している現状に胸を痛めている。「人々の辛い気持ちがよくわかる。戦争による破壊や戦闘は恐ろしいが、最も悲惨なのは、数百万もの人々が家を失い、明日どうなるかわからない状況にあることだ」と彼は話す。レヴチンは、妻でSciFi VCに勤めるベンチャーキャピタリストであるNellieと共に、ポーランドのウクライナ国境で難民支援を行っている慈善団体に寄付をしているという。

ロシアのウクライナ侵攻やインフレの進行により、米国の株式市場はこの数カ月間で急落した。投資家は、Affirmの成長に懐疑的な見方を示し始めており、レヴチンはその払拭に追われている。フィンテックセクターの株価は、11月のピークから50%下落しており、Affirmの時価総額も同月に記録した過去最高額である470億ドル(約5.7兆円)から3月15日までに80%以上減少し、約90億ドルに下落した(Affirmの株価はその後反発し、22日現在の時価総額は約120億ドルに上昇した)。

投資家は、Affirmの収益性に懸念を示している。創業10年の同社は、昨年の第4四半期に1億6000万ドルの損失を計上した。FactSetによると、ウォール街のアナリストは、Affirmが2025年まで黒字化を達成しないと予測している。

投資家は、1年前まで成長を重視し、テクノロジー企業の株価は史上最高を記録したが、現在では利益がより重視されるようになっている。しかし、レヴチンは「我々は急成長中だ」と述べ、自社の戦略を変えるつもりはないという。彼によると、Affirmの売上高は2021年第4四半期に対前年比77%増を達成し、アクティブユーザー数は過去6カ月間で倍増し、1100万人に達したという。

買収ターゲットに浮上説


「我々は、競合他社から積極的にシェアを奪っている」とレヴチンは話す。Affirmは、Shopifyとの連携など、Eコマース企業とのパートナーシップによって事業を拡大しているが、顧客に利子負担を課していないため、このような取引は同社の利益率を低下させている。
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翻訳=上田裕資

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