一方でロイターの記事は、「ゴールデンパスポート業界は、多くの国々がこうした制度を長年施行してきたにもかかわらず、EU圏内では現時点でほぼ何の規制もされていない」と指摘している。
さらに、この記事はこう伝えている。「ヘンリー・アンド・パートナーズをはじめとする、これらのプログラムを開発・推進する企業は今後、厳しい規制要件に直面するだろう。議員の過半数が支持している(欧州議会の)提案では、これらの制度から得られる収益は課税対象となり、税収はEUの予算に組み入れられると定められている」
欧州議会が、3月に開催される本会議の期間中に採択を予定している提案には、このような文面がある。「富める者が、投資と引き換えにEU加盟国の市民権を取得できる、いわゆるゴールデンパスポート制度を、EUは終わらせるべきだ」
新たな欧州議会の報告書は、「何をもって投資とするかという基準は、これまであまりに長期間にわたり、低く抑えられてきた」と指摘し、「EU諸国の居住権は、実体経済に投資し、犯罪歴がなく、合法的な投資家と認められる者にのみ与えられるべきだ」と主張した。
ゴールデンパスポートおよびゴールデンビザ制度は、対象国への居住実績をほとんど、あるいはまったく必要としない点が特徴的だ。また、国際的な身柄の保護や合法的移住、国籍変更について、通常のチャネルで申請した際のハードルの高さに比べると、EU加盟国の居住権や市民権が迅速に得られる点でも際立っている。
ひとたび居住権や市民権が付与されれば、これらの制度の受益者は、シェンゲン協定が適用される地域内(圏内で国境を越える際に検査不要となるヨーロッパの26カ国)で、ただちに移動の自由を享受できる。
欧州議会の常任委員会である「市民の自由・司法・内務委員会」が作成した今回の報告書は、これらの投資による居住権や市民権の付与制度について、「倫理的・法的・経済的観点から好ましくない」ものだと断じている。