イェール大学のジェフリー・ソネンフェルド教授が率いる研究チームは、ロシア事業に関する各国企業の対応を調査し、結果をまとめたリストを公開している。そこには、消費者や投資家から反発を受けるリスクを冒しながらも、事業を続ける方針を示す有名企業が複数、含まれている。
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3月10日時点の情報によると、ホスピタリティ産業では、ロシア国内で約2000人を雇用する欧州最大のホテルチェーン、アコーホテルズが55軒の運営を継続。また、マリオットホテル、インターコンチネンタルも、それぞれ10軒、1軒の営業を続けている。
食品・飲料分野では、2020年の売上高がおよそ17億ドル(約1970億円)にのぼるネスレと、マースなどが事業を継続するという。
批判を受けて「決断」の企業も
カジュアル衣料のユニクロを運営するファーストリテイリングは、ザラやH&Mがロシアでの販売を停止するなか、柳井正CEOが「衣料品は生活必需品。ロシアの人々には、われわれと同じように生活する権利がある」と発言するなど、競合相手とは異なる対応を取っていた。だが、10日にそれまでの対応を一転させ、事業停止を発表した。
また、ロシア事業を継続していることについて、SNSで厳しい批判を浴びていたマクドナルドは8日、ロシア国内に展開している847店舗をすべて、一時閉鎖すると発表した。同様にSNS上で圧力を受けていたKFCの親会社ヤム・ブランズも同日、ロシアへの投資を一時中断すると表明している。
コカ・コーラもこの日、ロシアでの事業を停止すると発表した。同社については英国の著名投資家がツイッターで、ウクライナへの軍事侵攻を理由とする不買運動を呼び掛けていた。ペプシも同日、ロシア国内でのペプシコーラその他の飲料の生産・販売を停止することを明らかにしている。
スターバックスも8日、商品の出荷や店舗の営業を含め、ロシアにおけるすべての事業活動を停止すると発表した。ライセンス契約を結びロシア国内で営業しているすべての店舗は閉鎖後も、2000人近くにのぼる従業員を資金面で支援することに同意しているという。
ロシア国内に1200人以上の従業員を抱える米食品大手クラフト・ハインツはフォーブスに対して書面で、ロシアとの間の製品の輸送を停止し、同国に対する新規の投資を停止したことを明らかにしている。