冷戦の終結以来、1990年に進出したマクドナルドをはじめ、ロシアにはスターバックスからマリオット・インターナショナル、ルイ・ヴィトンまで、さまざまな事業分野の西側各国の企業が進出してきた。
だが、ナイキは先ごろ、ウェブサイトで、ロシアでのオンライン販売を停止したことを公表。カナダグースも、厳しさを増す事業環境とロシアに対する各国の経済制裁を理由に、事業の一時停止を決定した。イケアもロシア国内の17店舗を一時閉鎖。「サプライチェーンと経営状況に深刻な混乱が生じているため」と説明した。
アップルのティム・クックCEOは従業員向けに公開した手紙の中で、「(国際社会の)団結が必要なときだ」と述べている。H&MやDell、BMW、フォードも、すでにロシアでの販売停止している。
マクロ経済・地政学関連の分野が専門のコンサルタント会社、グリーンマントルのシニアアナリスト、ステファニー・ペトレラは、「これらのブランドは、ロシア(事業)を放棄したのだ」と話す。
ロシアで事業を行う各国の企業は、複雑な経済制裁の網をくぐり抜けていかなければならない。専門家らは、「制裁は複雑である上、今後も変更されていくと考えられる。そのためリスクを回避したい企業は、過剰にルールに従おうとする」と指摘する。
経済制裁について研究する米ウェイク・フォレスト大学のベン・コーツ准教授(歴史学)は、厳密に調べれば事業の継続が可能と考えられる企業も、法律上頭の痛いことが多くなりすぎるとして、撤退する例が多いと説明している。
また、企業にはその評判が危険にさらされる可能性もある。ピーターソン国際経済研究所のノンレジデント・シニアフェロー、ゲイリー・ハフバウアーはこれについて、次のように語る。