3. 業界リーダーになり、実験データを回収
自動運転業界をリードする立場になったモービルアイは、新技術や概念の明文化・法制化を政府当局に働きかけた。イスラエル運輸・道路安全省はこれを受けて、自動運転に関するプロトコルを策定。法的フレームワークが確立されたことで、他社が参入しやすくなった。同省はイスラエル社会を“実験場”にし、それを国内外の企業にも開放。モービルアイのほか、露ヤンデックスが開発した自動運転車もテルアビブの街を走ることができた(写真)。政府当局も実証実験からデータを収集。自動運転業界の育成はもちろん、街づくりにも生かせる。
4. 行政と協力し、データを社会に還元する
自動運転の究極の目的は、事故のない安全な社会の実現だ。近年、AIとデータを駆使して、街づくりや信号機から交通管理をするスタートアップが増えている。アクシリオンはそんな会社の一つだ。自動車やライトレールが入り乱れる首都エルサレムの信号をリアルタイムで管理し、スムーズな交通整理を実現するための実証実験を行なっている。同社の創業者たちはインテルやマイクロソフトで経験を積み、行政との仕事の仕方を理解してから参入した(写真)。スタートアップの世界では若さが評価されがちだが、豊かな社会経験が力になる場合もある。