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2022.03.07 07:00

コールセンターを自動化するインド発のAI企業「Uniphore」の実力

「Uniphore」の創業者のウメシュ・サチデフ(Mint / Getty Images)

2017年にインドのニューデリーで開催されたイベントで、コールセンターに特化したスタートアップ「Uniphore(ユニフォア)」の創業者のウメシュ・サチデフ(Umesh Sachdev)のプレゼンが、シスコシステムズの元CEOのジョン・チェンバースの目に留まった。チェンバースは、シスコのCEOを約20年間務めた後に、ベンチャーキャピタルを立ち上げ、若手起業家の指導に力を入れていた。

彼は、サチデフが9年間をかけて開発したAI(人工知能)ソフトウェアに魅力を感じ、3000万ドルの評価額でUniphoreの株式10%を取得した。その2年後に、サチデフは同社の拠点を米国に移した。

Uniphoreは2月16日、25億ドルの評価額で4億ドル(約460億円)を調達したことを発表した。同社のコールセンターAIは、自然言語処理(NLP)を用いて顧客が話す内容や感情を認識し、カスタマーサービスの担当者に対応を提案したり、レビュー用に分析結果を提供する。今回の調達はNEAが主導した。

インド工科大学マドラス校の学生だったサチデフは、同級生のラヴィ・サラオギ(Ravi Saraogi)と共同で2008年にUniphoreを設立した。同社が2019年にカリフォルニア州パロアルトに本社を開設すると、サチデフはシリコンバレーに移ったが、Saraogiはインドに残った。同社は航空会社や銀行などの大企業のコールセンターに特化したAIツールを開発している。

同社は3年前、2022年度末までに年間経常収益1億ドルを達成するという目標を掲げたが、その目標は達成できる見通しだ。サチデフによるとUniphoreの収益の約70%は、DHLやPricelineを含む約100社の大企業からという。

この分野の競争は激しく、CogitoやASAPPなどのコールセンターAI企業も、直近の評価額がそれぞれ2億7000万ドルと16億ドルに達している。しかし、サチデフはバーチャルアシスタントや詐欺防止用の音声認証、顧客との特定のやりとりを自動化するツールなどで差別化を図ろうとしている。

顧客サービスに特化したAIの強み


NEAで今回の出資を担当したHilarie Koplow-McAdamsは、この分野でUniphoreほど幅広い機能を提供するスタートアップを他に知らないと話す。

しかし、Uniphoreはこの分野の伝統的な企業やクラウドの大手とも競争しなければならない。グーグルは独自のサービスを社内で開発しており、マイクロソフトは昨年4月にヘルスケアに特化した音声AI企業「ニュアンス・コミュニケーションズ(Nuance Communications)」を197億ドルで買収した。

こうした動きに対抗するため、Uniphoreは今後、他社の買収や対応言語、提供エリアの拡大を計画している。同社の顧客の約70%は北米を拠点にしているが、サチデフによると、次は欧州とアジアでの顧客獲得を強化するという。

チェンバースは、顧客サービスのソフトウェアこそが、次のAIテクノロジーの成功企業を生み出す分野だと考えている。彼は、UniphoreのAI機能が、スノーフレイクやDataRobotのような企業価値がより大きい企業に勝っていると主張する。「これらの企業は、AIの専門性に関してUniphoreほど強力な基盤を構築できていない」とチェンバースは語った。

翻訳=上田裕資

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