ライフスタイル

2022.02.27 12:00

斬新なトヨタのノア、ヴォクシー。8年ぶりの大変身が注目の的

坂元 耕二

2列目がキャプテンシートとなる7人乗り、ベンチとなる8人乗りは、どちらも基本的なシートアレンジは変わってない。でも、2列目のスライド量とレクライニング機能はビジネスクラス並みだ。また、シートとシートの間からぱかっと出せるテーブルは使いやすいし、2つのUSBポートなら乗員同士が喧嘩なしで携帯の充電ができる。

室内の写真

また今回、安全性はかなりレベルアップしている。実は4つの「うお〜、賢い!」ポイントがあった。そのひとつ目。2列目のシートに座る子供が自動のスライドドアを開けようとした時に、後ろから自転車などが接近してくることを感知すると、ノア・ヴォクシーはドアの作動を停止して子供が降りられない様にする。僕はこの機能を試したけど、見事に猛スピードで接近してきたBMXバイクを感知して、ドアの動きを瞬時に止めた。うお〜、賢い!

2つ目の賢いフィーチャーは、サイドドアの開け方。例えば、買い物から帰ってきて、両手が塞がっているとしよう。シンプルにBピラーの下に足を軽く差し込むだけで、ハンズフリーでドアが自動的に開きながら、ステップがすうーっとボディの下から出てくる。そうすると、子供や高齢者が楽に乗り降りすることができる。

乗降時の写真
サイドステップが下部から出てくる。
 
3つ目の賢いポイントは、好きなところでストップできるテールゲート。その巨大なリアドアが開閉途中にその都度、好きな角度で止められる「フリーストップバックドア」となった。しかも、その機能を高価な電動式だけでなく、標準の手動式でも実現しているエントリーレベル仕様もある。

例えば、クルマのすぐ後ろに別のミニバンか壁があったりすると、リアドアからクルマのサイドに移った開閉スイッチを押すと、壁とぶつからない様にテールゲートを好きな角度で止めて、車内の荷物にすぐアクセスできる。

それに、忘れてならない4つ目の賢いポイントは、3列目シートである。ワンタッチでシートのレバーを引っ張ると、3列目のシートがスムーズな動きがぱかっと上がってサイドウィンドーの隣りで止まる。また、ワンタッチだけで下げることもできて、超賢い。

コックピットも随分とスマートになった。Aピラーをスリム化したことと三角窓を追加したことで旧型モデルと比べて前方視界がグッとよくなった。ディスプレイオーディオはエントリーグレード以外に8インチが標準装備で、僕が乗った仕様の10.5インチはオプションで選べる。

運転席の写真

エンジンは、98psの1.8リッターのハイブリッドと、170psの2.0リッターのガソリンNA仕様の2タイプ。僕は後者に乗ってみたけど、加速感は十分だと感じた。マニュアル感覚でシフトチェンジが楽しめる10速シーケンシャル・シフトは高く評価した。しかも、ステアリングは軽いけどピンポイントだし、コーナーではボディロールを旧型よりも抑えているので、気持ちよく乗れた。乗り心地も静粛性も文句なし。また、高速道路などで渋滞にハマった時に、レーダーのクルーズ・コントロールを通じて、ゼロから40km/hの速度域に、ドライバーが前を向いている条件を満たすと、加速、減速・ハンドルを操作支援してくれる。

新型ノア・ヴォクシーはオールマイティーとしか言いようがないだろう。チョイスは本当に盛りだくさん。前輪駆動車か4WD仕様、ハイブリッドかガソリン仕様、さらに7人乗りか8人乗りのチョイスもあると考えると、どのユーザーも満足できる仕様があるということだ。しかも、その4つの賢いポイントが、家族のドライブをより安全にしながら、より楽しい経験にもすると思う。価格は260万円から390万円と考えると、ミニバンのクラスのトップに立ったかもしれない。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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文=ピーターライオン

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