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2022.02.25 15:00

「アフリカ・スタートアップ」急成長の裏に、5年で8倍の投資マネー

ナイジェリア ラゴスの都市部/photo by Kehinde Temitope Odutayo shutterstock.com

近年、急成長を続けている地域としてアフリカに注目が集まっている。人口減少が叫ばれる日本とは逆に、アフリカの人口は年々増加の一途をたどり、2021年には13億人を突破。若年層が厚いことから社会変革や新たなテクノロジーへの対応力が高い一方、未だ多くの社会課題が存在することから、イノベーションにはスタートアップの力が求められている。実際、アフリカを中心にサービス展開をするスタートアップからユニコーン企業も生まれはじめた。

そこで、アフリカのスタートアップに投資を行うアンカバードファンド代表キャピタリストの寺久保拓摩氏に、近年のアフリカのスタートアップ・エコシステムの急成長について尋ねた。

アフリカが長年抱えてきたペインを解消するスタートアップ


2021年はアフリカのスタートアップエコシステムにとって大きな転換期となった。寺久保氏はその成長を見てきた。

「アフリカスタートアップへの投資額は、昨年ついに約4700億円を超え、前年比2.5倍と急成長しています。私がアフリカのスタートアップに関わり始めた2017年はまだ560億円程度でしたので、たった5年でアフリカのスタートアップへの投資額は約8倍に成長しています。このことからも、近年、世界がアフリカに寄せる期待値の高さがうかがえるでしょう。

セクターに分けると、投資額の約60%はフィンテックに集中しており、融資、貯蓄、決済、送金に関連する事業に多くの投資が行われています。アフリカの人々は、銀行口座を開設できないケースも多く、お金に関係する多くのペインを抱えています。その一方で、デジタルサービスの普及によって、長年抱えてきたペインの解消が進んでいるため、積極的にデジタルサービスを導入しています」。

多くの国民が生活の質の向上のために、新サービスを求め、積極的に活用していく姿勢を持っていることが、スタートアップの成長を大きく後押ししているのだ。

過去5年間の成長により大型調達が増加


2016年に、アフリカ版アマゾンと呼ばれるアフリカ最大のeコマースプラットフォームを提供する〈JUMIA〉が、アフリカ初のユニコーン企業となった。更に2019年には、アフリカの大手テック企業として初のニューヨーク市場へのIPOも果たした。

JUMIA上場の写真

2020年には、オンライン決済サービスを提供する米国のStripによる同サービス提供を行うナイジェリアの〈Paystack〉の$200M規模のM&Aや、オンライン送金サービスを提供する英国のWorldRemitによる同サービス提供を行うケニアの〈sendwave〉の$500M規模のM&Aなど、アフリカのスタートアップの大型EXITの事例も目立った。

この勢いは止まることを知らず、2021年には1億ドルを超える大型調達の増加によりユニコーン企業の誕生が相次いだ。中でも、モバイル決済プラットフォームを提供するナイジェリアの〈Opay〉はシリーズCラウンドで$400Mを調達。Softbank Vision Fund 2がリード・インベスターを務めており、現在は約2000億円の企業価値に成長した。
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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