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2022.02.25 15:00

「アフリカ・スタートアップ」急成長の裏に、5年で8倍の投資マネー

ナイジェリア ラゴスの都市部/photo by Kehinde Temitope Odutayo shutterstock.com


3つ目は、幼少期はアフリカで育ちながらも欧米の大学に留学し、グローバル企業で事業経験を積んだ後、アフリカに戻り起業家になるケースです。昨年$250Mを調達した海外送金アプリを提供する〈ChipperCash〉のファウンダーは、facebookやYahoo!の出身です。また、弊社投資先でアフリカ版Squareと呼ばれる中小企業向けPOSサービスを提供する〈Yoco〉の創業者は、City Bankやドイツのロケットインターネット等で事業経験を積んだ後に起業をしており、現在は20店舗が同サービスを利用し、昨年アメリカの投資家を中心に$83Mの資金調達を行いました」
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どのパターンからも優秀な起業家が排出されており、グローバル企業やユニコーン企業に関わる中で得た知見を活かして、アフリカの発展に貢献している起業家たちの姿があった。この好循環によって、アフリカのエコシステム全体の層は年々厚くなっている。

歴史ある日本企業の異色なアフリカ投資


面白い方法でアフリカのスタートアップにアプローチしている日本企業がある。

創業130年以上の歴史を持つ商船三井だ。2017年に日本郵船、川崎汽船と定期コンテナ船事業を統合した際に、同社はアフリカにあった拠点の多くを閉じた。しかし、2019年に社内で創設された新規事業提案制度によって、中古農機のアフリカへの輸出事業を行うKiliMOLと、邦船社では初となるコーポレートベンチャーキャピタルであるMOL PLUSという2社の社内ベンチャーが誕生。KiliMOLがアフリカで実業を行う過程で現地スタートアップとの協業を模索・情報収集し、その際の現地スタートアップのパフォーマンスや情報を考慮してMOL PLUSがスタートアップ投資の判断を行うというハイブリッドな戦略を取っている。
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一般的に歴史ある日本企業は、既存の投資基準とは異なる評価が求められるスタートアップへの投資に消極的になりがちで、アフリカとなればなおさら躊躇しがちだ。そのような中で、スタートアップ投資の枠組みを本体とは別のCVCという形で整備し、さらに機動力のある社内ベンチャーの実業とミックスしてアフリカのスタートアップにアプローチする商船三井のやり方は異色といえる。今後、どのような形でアフリカでの事業展開を行い、現地スタートアップとの協業や投資を行っていくか目が離せない。

まさに今、情報革命によって急速な経済成長が起きている


将来的に多くの日本企業がアフリカ市場へ参入するだろうが、かつての中国や東南アジア市場への進出モデルとは異なる視点が必要だ。このデジタル起点の経済成長をどのように捉えるかが重要なポイントになるからだ。

2017年からアフリカスタートアップに関わる寺久保氏は「通信環境やスマホの普及等のインフラ面、スタートアップの投資環境等、当初の私が想像していたよりも遥かに早いスピードでアフリカ市場は成長しています。その一方で、住所がなく物流の仕組みが不完全だったり、公共交通機関がなかったり、電気が通ってない地域が存在したりするなど、人々の日々の生活には多くの課題が残されています。

そんな彼らの生活を支える基盤を創る役割を担うのがスタートアップであり、デジタルという価値を通じて現代に最適化された都市が創られているのが今のアフリカです。アフリカは情報革命から経済成長するという点がポイントで、今までの先進国とは全く違う成長を遂げるでしょう。10年〜30年先から考えるとまだまだアフリカスタートアップは黎明期かもしれませんが、あと数年で年間投資額1兆円を超える日も近いと思います」と将来の展望を語った。

既に、欧米や中国企業は積極的にアフリカのスタートアップ企業へ事業提携や投資、M&Aなど様々な手を使って連携を図っている。アフリカ市場はまだ先だと考えている日本企業も多いかもしれないが、世界の流れを見ると残された時間は僅かだろう。今まさに急成長しているアフリカ市場と共に、日本ももう一度経済成長しようではないか。

文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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