共同創業者のカイル・ヴォグト(Kyle Vogt)が率いるクルーズは2月1日、「クルーズ・ライダー・コミュニティ」プログラムと名付けたロボタクシーサービスの順番待ちリストへの登録を開始した。
同社は昨年、カリフォルニア州から完全自動運転車による無料送迎サービスの認可を受け、現在はタクシーや配車サービスを管轄するカリフォルニア州公共事業委員会からの許可を待っている状況だ。このため、同社はまず無料でサービスを提供する。
「本日、我々はサンフランシスコで完全自動運転車による送迎サービスの提供を開始する。私は毎日車両の開発に取り組み、進歩をつぶさに見てきたが、この文章を書く瞬間が到来したことにまだ驚いている」とヴォグトはブログの中で述べた。
クルーズは、カリフォルニア州でロボタクシーサービスを提供する最初の自動運転企業となる。競合のアルファベット傘下のウェイモ(Waymo)もサービス開始の準備をしている。
ウェイモは、フェニックス郊外で完全運転車による送迎サービスを既に開始しているが、サンフランシスコに比べて交通量は少なく、運転状況も複雑ではない。ヴォグトによると、クルーズはカリフォルニア州で200台以上の車両を保有しているが、今回のプログラムで使用するのは12台程度だという。
「リストに登録した人がサービスを利用できるのはまだ先になるかもしれないが、先に登録した人から順番に送迎サービスを開始していく。登録者は毎日増えている」と、ヴォグトは2月1日に行われたGMの決算発表会で述べた。
ソフトバンクなどから累計100億ドル調達
クルーズはまた、ソフトバンクが以前の計画に基づき、13億5000万ドルを同社に追加出資したことを明らかにした。これにより、クルーズがGM、ホンダ、ウォルマート、マイクロソフト、ソフトバンクから調達した資金の総額は100億ドル(約1兆1500億円)に達した。
今回のサービス開始は、自動運転技術の普及を目指すクルーズにとって大きな前進だ。過去5年間で、クルーズをはじめ、ウェイモ、フォードとフォルクスワーゲンが支援するアルゴAI、アマゾン傘下のZoox、配送ボットを開発するNuroなど、自動運転分野には数十億ドル規模の投資資金が流入している。
しかし、自動運転車の商用利用が広く普及するまで、どれ位の時間を要するかは依然として不透明だ。ウェイモは、フェニックス郊外でロボタクシーと無人配送サービスで収益を上げているが、他の大都市への進出については言及していない。