SDGsの取り組みをトークンで可視化・市場化に挑戦をするスタートアップも登壇していた。「SDG Exchange」だ。SDG Exchangeは、パリ協定第6条実現を目指すカーボンオフセットのためのマーケットプレイスとトークを提供し、炭素排出に関わる市場をシームレスに統合し、収益性の高い取引を可能にするという。独自トークンを2種発行予定で、一つは 炭素1トンを電子化/トークン化するITMOと、カーボンオフセットを支援する一般投資家向けのCarbono Tokenにより炭素排出削減に取り組み企業と投資家を繋ぐ。
炭素のトラッキングはIBMブロックチェーン技術で進めているとの話を聞いたことがあったので、ファウンダーの一人、元EYデビッド・ジェンセンに話を聞いたところIBMなどの取り組みなども熟知した上でのSDG Exchangeを立ち上げたという。今後の地球環境に対する取り組みをブロックチェーンで可視化する挑戦としてとても興味深い。
クリエイターの視点で語るNFT
さて、当イベントでは嬉しい出会いもあった。2021年末のニューヨークのNFT.NYCで登壇していたクリエイターのミス・トレーシーに再会できたのだ。彼女は写真家であり女性向けNFTコミュニティ「Women X NFTs」の主催でもある。
彼女自身写真家として活動するなかで、自分の作品を世の中に出すことに苦労をしていたときにNFTに出会い可能性を感じたことと、男性中心のNFT界を変えていくべく行動を起こしたのがWomenXnft.comである。彼女のコミュニティでは男女問わず多くの方がNFTマーケットプレイスに作品をあげる仕組みを理解することによりクリエイターが自立できる機会を作り上げる。自分だけが成功する、ではなく、コミュニティとして成功する仕組みをつくるミス・トレーシーの存在がとても興味深い。
アーティストのONE HUNDREDは、いままではミューラルアートを中心に描いていたのだが、NFT市場の加熱によりNFTをテーマに描くことが多くなっているという。
自慢のNFTを家でも飾りたいというニーズにあわせて絵を描くそうなのだが、現時点で人気のBored Ape Yacht Clubなどを購入する方々はジャスティンビーバーなどのセレブリティーが多いので、その様な方々にキャンバスアートも販売するのは高額で売れる可能性があると考えているそうだ。確かに当イベントに参加していたラグジュアリーな方々が自分のNFTも描いてほしいという依頼をしていた。既存のフィジカルアートを作っている方々もNFT市場の盛り上がりとともに、キャリアを拡大するチャンスもありそうである。
毎年のCESはラスベガスのメインストリップでのド派手で大規模な印象があるのだが、この一軒家でCESとNFTの今後を占う体験もなかなか貴重な体験だ。来年CESはNFTカテゴリーを拡大するのか、しないのか?NFTコミュニティとCESのつながりも気になる夜であった。