ティーンエイジャーは銀行口座をつくらずともNFTなどを取引するウォレット(トークンの売買・交換をするブロックチェーン上の自分のお財布)があれば生きていけると自らも10代で「Miss Teen Crypto」とハンドルネームを持つ女性がステージ上で熱く語り、期間中に開催されたパーティーは実際、ドルを使わずに仮想通貨だけで運営されていた。会場にいる人々とは、Facebookのようなソーシャルグラフ(人々の関係性)を使わずに、トークングラフ(ブロックチェーン上の活動を軸につながる関係性)を中心にコミュニケーションが進んでいく。
おりしも次期NY市長に選出されたエリック・アダムズ氏が給与をビットコインで受け取ることを発表し、ニューヨークを仮想通貨の取引の中心地とするとの発表があった。ブロックチェーンのビジネス、エンターテインメントの震源地となりそうなニューヨークでのNFTの盛り上がりを当記事では紹介する。
「NFT.NYC」とは
さて、そもそも「NFT.NYC」イベントとは何なのか。このイベントは2019年にスタートし、最初は500人ほどが集まるイベントだったが、3年目を迎えた2021年は5000人を超える参加者が集い、ニューヨークのタイムズスクエア近くの劇場4会場を中心にセッションやミートアップ、展示が行われた。
正直にいうと最初はそれほど期待せず、軽い気持ちで参加したのだが、会場近くのタイムズスクエアのビルボードが、カンファレンス、およびNFT作品でジャックされているシーンを見て、デジタル上の熱狂が街にインストールされていることに興奮しながら会場に入ると、初日のサプライズゲストが、ハリウッドの巨匠の一人であるクエンティン・タランティーノ監督であった。
彼は、アカデミー賞受賞映画である『パルプ・フィクション』の未公開シーン7つをNFT化すると発表しており、さらに会場のテンションが上がった。タランティーノ監督がNFTを活用するニュースは映画業界や映像を扱う人々にも大きなインパクトをもたらすこととなるだろうと興奮したのは私だけではないだろう、NY PostやFortune、CNNでも速報としてすぐにニュースになった。