他にも、幅広のもの、煮込みに適した結んであるものなどがあり、用途に合わせて選ぶことができる。
幅広のものや結んである豆腐干も
日本でのヒット、台湾での反応は?
定番化しすぎて、地味な存在ですらある豆腐干の日本での流行を、台湾ではどう見ているのだろうか?
筆者の周りの台湾人に聞いてみると、「こんなにありふれた食材が日本で流行るなんて」「いろいろな豆腐があるけど、なぜ豆腐干?」などと若干戸惑いを隠せない答えが返ってきた。とはいえ、パスタやラーメンなどのアレンジに対しては「想像できない! でも食べてみたい!」という声も多く聞かれた。
台北市で食材店を営む楊怡君(ヤン・イジュン)さんは次のように語る。
「日本人の発想は面白い。パスタにサラダにと、中華圏の料理以外にアレンジして食べるメニューは参考になる。豆腐干の持つポテンシャルを日本人が引き出してくれれば、逆輸入の形で台湾でもヒット商品が生まれるかもしれない」
台湾人にも食べてみたいと言わせる豆腐干パスタ
台湾は豆腐の種類が日本に比べて圧倒的に多く、絹や木綿だけでなく、石膏で固めた豆腐や、魚のすり身を混ぜた豆腐、大豆プロテインでできている豆腐なども一般的に売られている。仏教徒が多い関係で、素食と呼ばれるベジタリアン食が発展しており、市場には鶏肉の食感に似せた豆腐や、ホルモンを模した湯葉なども並んでいるので、見ていて飽きない。
豆腐干のメジャー化がきっかけで、日本でも台湾のようにたくさんの豆腐類が流通するようになれば、日本人の植物性タンパク質摂取のバリエーションも増えることになるだろう。もちろん糖質を制限する人やベジタリアン、ビーガンの食の選択肢も広がる。
そうでなくても、コロナ禍の影響で海外旅行ができないなかで、中華圏の美味しい食材が日本で手軽に食べられるようになるのは、喜ばしいことである。
手前がホルモンに似せた湯葉、右端が魚のすり身が入った豆腐
日本では、いま豆腐干は都内の大きめのスーパーならば、冷凍や冷蔵で購入できると聞いた。ネット通販では頼んだ翌日に到着するものもあるということなので、機会があれば、ダイエット中でなくても、ぜひ豆腐干を試してみてもらいたい。
食べるときは、洗って、重曹を入れた水に浸してから茹でこぼすのが、美味しく調理するコツだ。