テクノロジー

2022.01.21 07:00

買えるソニーのEV誕生へ VISION-Sを強くする「3本の矢」とは

VISION-S 02の車内空間のイメージ。独自の立体音響技術「360 Reality Audio」を搭載する予定


ソニーはVISION-Sの試作車を発表後、「常に進化し、成長していく車」というコンセプトを掲げてきた。ネットワークにつながり、ソフトウェアを経由して最新の機能やサービスを提供する「コネクテッドカー」であることは、VISION-Sにとって「前提」であるとしたうえで、加えてソニーが既存の事業で培ってきた経験が活かせると、川西氏は述べている。
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「ソニーにはペットロボットのaibo(アイボ)を通じて得た豊富なノウハウがある。購入後も長い時間を一緒に過ごすと、大抵はペットロボットに愛着がわいてくるものだ。ソフトウェアアップデートをかけてAIを強化したり、サービスの追加も継続的に図ってきた。経験を踏まえながら、VISION-Sでもまた継続的なアップデートを提供して、ユーザーに長く愛用してもらうことも考えている」(川西氏)


VISION-S 01(手前)とVISION-S 02(奥)(Photo by Alex Wong/Getty Images)

エンターテインメントの領域では、オーディオやホームシアター向けに、リスナーの360度全天球を包み込むようなリスニング体験を実現する「360 Reality Audio」というソニーの独自技術があり、同技術をVISION-Sに載せるコンセプトも公開している。その用途は、単にカーサウンドの迫力を増すことに止まらない。
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例えば後方から迫る自動車やバイクの走行音を、車外の環境音ごとマイクで取り込み、360 Reality Audioの技術を使って、車内空間にいながら正確な方向から音が聞こえてくるような「安全運転を支援する技術」に活かす道も検討されているようだ。

ソニーによるEV市場参戦の宣言は、既存の自動車産業のトップ企業、あるいはIT・エレクトロニクスの領域でソニーと切磋琢磨してきたライバル企業にも、大きなインパクトをもって受け止められたはずだ。今春に予定されている事業会社の船出に注目したい。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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文=山本 敦

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