ケースに限らず、最近明らかに市場に増えたのは、レトルトパックなどのアルミフィルムだろう。美容業界では、詰め替えシャンプーの容器、業務用容器、ヘアのカラー剤容器などでも使われている。アルミ問屋からしたら、詰め替えシャンプーとEV産業だったらEVに売ってしまうのは、理解できなくもない。
美容の文脈だからできること
追い討ちをかけるのが、酢酸エチルの高騰である。一般的には聞き慣れない名称だが、業界では「酢エチ」と略されて呼ばれていて、用途は多い。元はパイナップル原料のエステルで、化学変化を加えることで、最終的にはペットボトル原料や接着剤になるのだ。
21年10月の化学工業日報によると、「原料の酢酸のアジア市況が急騰。主産地中国では石炭不足による電力制限を受け、江蘇省などの主要メーカーが軒並み減産」ということで、価格は2倍近くになっているそうだ。そうなるとポリマー系樹脂の材料や、美容でもお世話になっているアルミフィルムの接着で酢酸エチルが使われ、より物不足になってくる。
環境問題を考えると、電気自動車やアルミを歓迎し、石炭をやめようとなりそうだが、これまた難しい市場争いがコロナ禍で行われている。ディズニーランドのお菓子がなくなるような物流の問題もある。日本も中国と密接に関係があり、中国のおかげで成り立っていることが本当に多い。隣国なので仲良くしていくしかない。
そんなとき、「美しさ」のような文脈では角が立ちにくい。日中、そしてアジアも「他人のしあわせを願って」美しい社会にしていきたい。美容であればそれが実現できると思う。
連載:オトコが語る美容の世界
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