テクノロジー

2022.01.06 16:30

最近話題のメタバースとは一体何なのか?


そもそもVR、つまりバーチャル・リアリティー(Virtual Reality)という言葉も最近聞かれるようになったと思う人も多いが、すでに30年以上も前に作られていたもので、この言葉が定着するまでには紆余曲折があった。


SFIO CRACHO / Shutterstock.com

最初は「仮想現実(感)」「人工現実(感)」などと訳され、アメリカではArtificial Realityとも言われたことから「人工現実」という言葉もあって、当分の間メディアも混乱していた。

それらに先だって仮想世界(Virtual World)、仮想環境(Virtual Environment)などという言葉もあったが、客観的に「世界」や「環境」と呼ばれるよりも、使う人が主観的にリアルに感じることに注目して、最初の商用HMDを売り出したVPL社のジャロン・ラニアーがVirtual Realityと言い出したところ、こちらの言葉が新しい経験を「言い得て妙」だと普及することになった。

他にも英語圏ではSynthesized Reality(合成現実) 、Simulated Reality(模倣現実)、Annotated Reality(注釈付き現実)、Virtuality(仮想)、World Simulator(世界シミュレーター)、First Person Experience(一人称的経験)、Telepresence(テレプレゼンス)、Tele-existense、Tele-immersionや5Dなどの多種多様な用語が入り乱れたが、結局はVRが生き残った。

最近はVRを細かく分類して、現実側を補強するものをAugmented Reality(拡張現実)、現実と一緒に使うMixed Reality(混合現実)、さらにはそれらを包括するExtended Reality(XR)まであるが、次第にそうした差異を問題にする必要性はなくなっていくと考えられる。

ネット社会の宇宙とは?


というのも、こうした用語の乱れは、往々にして本質的な意味を問うためというより、同じような目標に向かって他社と差別化した製品を開発しようとする、マーケティング的なドライブによるものが大きいからだ。他社製品と混同されないように敢えて別の言葉を使い、こちらが正当な当社のオリジナルだとばかりに、いろいろな言葉による言語戦争が勃発する。

いまは駆逐されてしまった、一般に「フロッピーディスク」と呼ばれた円盤型の磁気シートを使った外部記憶装置も、これ以外にフレクシブルディスク、ディスケットなどの言葉が飛び交ったし、90年代初頭にパソコンが文字以外に画像や音声を扱えるようになった頃にも、メーカーによってマルチメディア、マルティメディア、マルタイメディアなどという読み方の微妙な使い方の差を付けていたので、どの会社の製品かがすぐにわかったものだ。
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文=服部 桂

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