キャリア・教育

2021.12.24 08:00

一流の読書で「軸」を作れ! 投資思考を鍛える本10選


『イノベーション・オブ・ライフ』 クレイトン・M・クリステンセン


著者は『イノベーションのジレンマ』で知られ、多数の名著を遺した経営思想家。世の中にはビジネスで成功しながら、明らかに不幸な人たちがいるのはなぜか。優れた経営研究の手法を応用した、画期的な「人生経営書」が本書だ(翔泳社)。
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クリステンセン教授は世界的な経営学者でありながら、決して学生を下に見ることなく、自らの行動を通してどんな立場にある他者をもリスペクトすることの大切さを教えてくれた。抗ガン剤治療を受けたあとにハーバード・ビジネススクールで行った最後の講義がこの本のもとになっている。揺るぎない幸福のよりどころを知り、誠実な人生を歩む方法を、ご自身の経営理論をもとにひもといてくださった。経営書としても、人生の指南書としても、必読の1冊。

LIFE LESSON
幸福のよりどころを知り、誠実な人生を歩むにはどうしたらいいか、という問いへの答えをいただきました。(関 美和/MPower Partners ゼネラル・パートナー)

『プロセスエコノミー』 尾原和啓


よいモノをつくるだけでは稼げない時代。完成品をつくるまでのプロセス段階、つまり制作過程こそコンテンツとして強い影響力があると著者は説く。副題は「あなたの物語が価値になる」。ストーリーが力をもつ新しい経済とは(幻冬舎)。
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ユーザーが感じる価値は、モノの機能価値から、体験価値、さらには参加価値へと高度化している。アップルは単なる家電屋でなく、モノ、オンラインサービス、店舗や広告でのリアル体験を一貫性のある体験価値に昇華させた。クラウンドファンディングはモノづくりを応援し、製品開発のプロセスに参加できる価値を体現した。ライブ×ファン、つくり手の直接コミュニケーション×参加価値が交差するプロセスエコノミーは、次の時代を読み解くのに必須だろう。

LIFE LESSON
プロセスエコノミーという、次の時代を読み解くために必須のコンセプト。(高宮慎一/グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー)

『イスラエル 兵役拒否者からの手紙』 ペレツ・キドロン


2003年出版。自爆テロと報復攻撃の絶望的な連鎖のなか、自国の政府や軍に異を唱え、兵役拒否を決断したイスラエル人たち。ぎりぎりの状況で発せられた彼らの生のメッセージを、一人ひとりの「手紙」で伝える(NHK出版)。

母からもらった本。いまも世界では利益や愛するもののために争いが絶えず、命が奪われ、平和な知識人はその状況を「歴史が生み出した解決困難なもの」とラベリングしている。一方で、その争いの最前線には、歴史の潮流に真っ向からあらがう人もいる。その一例がイスラエルにおける兵役拒否者の存在だ。手に負えないほど難しい課題にも差し込む光があるという事実を知ることで、より多くの人が社会課題解決に希望を見いだせるようになればと思います。

LIFE LESSON
「知らなければよかった」があふれる世の中で、知ること、立ち向かうことへの勇気をもらえた。(中村多伽/taliki代表取締役CEO)

『僕は君たちに武器を配りたい』 瀧本哲史


著者が投資家としての経験から語る、自力で道を切り開く力。これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、非情で残酷な日本社会を生き抜くための思考法。本特集の読者は、第8章「投資家として生きる本当の意味」は必読(講談社)。

安泰な常識が通じなくなり、人材や能力のコモディティ化が進む現代。人生を投資家の視座でとらえて決断する思考法が、瀧本先生から「武器」として示される。社会はトップダウンやカリスマだけでは変わらず、一人ひとりが考えたリスクテイクにこそ勝機がある。瀧本先生がこの本に思想を凝縮して残したことで、我々はいつでも立ち戻り、社会変革のゲリラ戦に臨むことができる。逃げきれない世代、学生や若手社会人にぜひ読んでいただきたい。

LIFE LESSON
人生は短い。自分が信じるリスクを取りにいく。戦いに立ち上がるときは、いま。(毛塚幹人/前つくば市副市長)

文・編集=神吉弘邦、佐藤大介

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