『繁栄の法則 戸が笑う』 北川八郎
防衛大学や一部上場企業を経て、インド放浪や断食を経験した著者は、阿蘇山中で作陶する陶芸家。2003年出版の本書は、人としての在り方や会社経営の在り方を指南する書籍として、社長や商店主などに読み継がれてきた(致知出版社)。
私の知る投資の成功者には共通項がある。自分の投資軸(価値観)にぶれがなく、お金に謙虚である。そして、なぜか人間的魅力がある。ある勉強会で著者の北川八郎先生と出会い、この本を手にしたとき、その理由に気づいた。「人も、会社も、そしてお金も、繁栄には法則がある。利よりも信を。信こそが貨幣であり、本をただせば感謝する心に至る」と。一見すると投資とは無関係な書籍だが、投資に通じる大切な思想がちりばめられている。
LIFE LESSON
投資には人格が宿る。日々のよりよい生き方が、投資哲学を深める道である。(鎌田恭幸/鎌倉投信代表取締役社長)
『エンジェル投資家』 ジェイソン・カラカニス
著者は、多くのスタートアップへの投資によりシリコンバレーで大きな成果を出しているトップクラスの投資家。副題は「リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか」。ミスルトウの孫泰蔵社長が序文を寄せている(日経BP社)。
ウーバーをはじめ数々のユニコーン企業を生み出してきたアメリカを代表するエンジェル投資家、ジェイソン・カラカニスの著書。カラカニスは「エンジェル投資においては、人が重要だというのではなく、人がすべてなのだ」と断言する。ここで言う「人」とは、経営者(創業者)のことである。会社は経営者の器以上には大きくはならないといわれるが、まさにその通り。スタートアップへの投資の成否は、ひとえに経営者にかかっているのである。
LIFE LESSON
数々の困難を乗り越え、事業を完遂できる経営者に求められる人間力のリアルを学ぶことができた良書。(堀内 勉/多摩大学社会的投資研究所教授)
『The Almanack of Naval Ravikant』 エリック・ヨルゲンソン
ナヴァル・ラヴィカントは、テック系起業家とエンジェル投資家をつなげるサイト「AngelList」の共同創業者。Almanack(年鑑)の名の通り、彼が10年間にわたりSNSなどで発表した文章や音声をまとめた1冊(Magrathea Publishing)。
本書の元ネタとなっているのがラヴィカントのポッドキャスト。聴き終わったとき、自分が投資家としてだけではなく、ひとりの人間としてあまりにも未熟であったことを再認識させられた。お金を稼ぐとはどういうことか。幸せとはどういうものか。そして、なぜいまテクノロジーを深く理解していなければいけないのか。何度読み直しても新しい発見がある、人生のバイブル的な存在になっている。この本に、あと10年早く出合いたかった……。
LIFE LESSON
自分の時間を切り売りしている限り、資産はつくれない。投資もしくは自分でビジネスをもつこと。(村瀬 功:Zak Murase/Plug and Play Japanエグゼクティブアドバイザー)