このところブームはさらに本格化しており、それを象徴するかのような興味深いイベントが開催された。12月15日、都内で授賞式が開かれた「第1回麻辣グランプリ」という食品コンテストだ。
麻辣グランプリは食品業界ではなく、消費者が選ぶ食品コンテスト
同コンテストは「本場の麻辣の味が日本に浸透し、正しく伝わる!」ことを掲げて、「麻辣連盟」という団体が企画したものだ。麻辣連盟は、すでに2017年から「四川フェス」という食のイベントを催しており、これまで日本の麻辣ブームを牽引してきた。
麻辣の代表的な料理としては麻婆豆腐や火鍋などが挙げられるが、今回のコンテストで審査の対象となったのは、麺、醤(ラー油)、麻婆豆腐、火鍋、菓子の5部門にエントリーされた、全国各地の食品メーカーや輸入食材代理店など71社の120の麻辣食品だ。
120品におよぶ麻辣食品
選考委員には四川飯店グループオーナーシェフの陳建太郎氏をはじめとした中華料理のプロも顔を揃え、実食を経ての審査の結果、以下の食品が各部門のグランプリに輝いた。
麺 「老担担麺」(担担麺や天秤)
醤 「薬膳島辣油」(小笠原フルーツガーデン)
麻婆豆腐「古樹軒オリジナル麻婆豆腐」(中華・高橋)
火鍋 「好人家 手工火锅底料」(四川天味食品集団)
菓子 「麻辣花山椒味スリーズパスタスナック」(三州製菓)
グランプリを受賞した火鍋の素やパスタスナック、審査員特別賞の青花椒チョコなど
麻辣ブームに至る2つの流れ
筆者はまず市販でこれほど多くの麻辣食品があることに驚いたが、受賞した食品の多くは自宅で手づくり料理として味わうものだった。背景には、コロナ禍による巣ごもり需要と「おうちごはん」ブームがあるには違いないが、麻辣ブームは一部の愛好家から一般消費者へとじわじわと広がっていることを実感した。
2010年頃から始まったといわれる日本での四川料理の台頭や麻辣の静かなブームには、大きく2つの流れがあったように思われる。
ひとつは、筆者も関わる東京ディープチャイナ研究会が訪ねている、中国語圏の人たちが供する中華料理店のなかから四川料理や激辛火鍋を出す店が都内に現れてきた流れだ。