フィンランドでは現在、女性の平均給料は男性より17.2%低い。給与情報を公開すれば、男女間の格差は縮まるのだろうか?
研究からは、従業員の給料についての透明性が高い職場では、給与格差が小さいことが分かっている。給与の透明性がなければ、従業員は職場での差別に気づかない場合が多い。
自分の給料が同僚よりも低いことを知れば、公平さを求める意欲がより持てるようになる。また、従業員が同僚の給料を調べられる状況では、企業側は各自の給料を正当化できる必要があるため、バイアスが減ったり亡くなったりするだろう。企業は、交渉上手な人や上司に気に入られた人に高い給料を支払うことができなくなる。
女性が男性よりも給与水準が低い理由の一つは、賃金交渉が関係している。女性は男性よりも賃金を交渉しない傾向にある上、交渉した場合には反発を受けやすいことを示す証拠がある。また、現在の給与が前職の給与を基に決められている場合、仕事を変えても性差別が付きまとうこともある。給与の透明性が高まれば、会社は各自の給与を現在の職務内容に基づいたものにしなければならないため、こうした問題は解消するだろう。
性別による賃金格差のもう一つの原因は、男女がそれぞれ違う職業を選ぶことだ。例えば、給料が高いSTEM(科学、技術、工学、数学)分野に進む人は、男性の方が多い。女性がこうした職業に就かない一因として、性差別への不安がある。給料の透明性が高まれば、女性も周囲と同じ給料を得ていると自信が持てるようになり、こうした分野に進む上での不安が和らぐだろう。
一方で反対派は、従業員の大半が自分は周囲よりも高い給与を受ける資格があると考えていることから、他者の給料が分かるようになると従業員の不満度が上がり、組織にとって問題となると主張している。