AIでプロ並みの動画を制作する「Synthesia」が累計76億円を調達

(c)Synthesia

AI(人工知能)を活用した動画プラットフォームの「Synthesia」は12月8日、シリーズBラウンドで5000万ドルを調達したことを明らかにした。2017年に設立された同社の累計調達額は6700万ドル(約76億円)に達している。

Synthesiaの特徴は、映像制作機器を用いることなく、ソフトウェアを使って手早く動画を制作できることだ。今回のラウンドはクライナー・パーキンスが主導し、GV(旧グーグル・ベンチャーズ)や既存株主のFirstmark Capital、LDV Capital、Seedcamp、MCC Venturesらが参加した。

Synthesiaの共同創業者でCEOのVictor Riparbelliによると、動画やオーディオは制作に多くの費用と時間を要することが課題になっているという。Riparbelliは、2020年にフォーブスの「30 アンダー30」の欧州版に選出されていた。

Synthesiaを使うと、ユーザーは自身をアバターにすることが可能で、スクリプトを入力すると、動画が生成される。現状で63カ国語に対応しており、ユーザーがスペイン語で入力すればアバターもスペイン語で話し、フランス語で入力すればフランス語を話す。

SynthesiaはSaaS型のビジネスモデルをとり、個人用と法人用の2種類のプランを提供している。個人用の料金は月額30ドルで、ユーザーは1カ月に10分間の動画を作成できる。法人用では、ニーズに応じて利用時間を設定できる。

現在、約5000の顧客がSynthesiaを利用しており、これまでに600万本以上のユニークな動画が作成された。顧客の中には、アーンスト・アンド・ヤング(同社の35名のパートナーがSynthesiaでアバターを作っている)や、Teleperformance、UiPath、WPPなどが含まれている。

Riparbelliによると、企業は社内外向けのコミュニケーションにSynthesiaを活用しており、用途としては、トレーニング向けが最も多いという。

「企業にとっては、より迅速に効果的なトレーニングを提供することができる。また、セミナーの受講者に15ページの資料を読むのと、2〜3分の動画を見るのとどっちが良いかを選ばせたら、答えは明白だ」とRiparbelliは言う。Riparbelliは、同社のテクノロジーがエンターテイメント分野でも広く普及する可能性を秘めていると考えている。

「我々の目標は、創造力さえあれば、ノートパソコンだけでハリウッド映画を作ることができるようにすることだ」とRiparbelliは述べた。
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編集=上田裕資

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