カスタマーサービス、デザイナー、マーケッターは全員、世界10カ国から訪日した外国人。週一の商品会議で彼らの視点が活かされる。例えば、日本人バイヤーが推す「甘じょっぱい味」は「あいまいな味」、季節感を表す「繊細な味」が「ぼやけた味」というように、外国人のマーケッターがダメ出しする。こうした異文化間の味覚の違いを埋める作業が1ヶ月かけて行われ、最終的に商品が決まる。
また、ICHIGOの強みは、カスタマー・サーベイに協力する180万人の登録者が世界各地にいることだ。コロナ禍で始めた日本の和菓子を詰めたボックス「Sakuraco」は、サービスの登録者や会員の「トラディショナルな日本を知りたい」という声から生まれた。
『Sakurako』のイメージ写真。TOKYO TREAT 同様、さまざまな和菓子が箱いっぱいに詰められ、海外へ送られる。
社内では当初、「和菓子は地味すぎて海外で良さが伝わらないのではないか」という声もあったが、蓋を開ければ、伸び率は170%増と予想以上の売れ行きに。近本は「コロナ禍で痛手を受けている国内の和菓子店に新しい販路を提供することで、地域活性化のお手伝いができれば」との思いで、事業にゴーサインを出した。今では、Sakuracoは、TOKYO TREATと並ぶ人気ブランドに成長。この2つのボックスで売上の7割を占めている。
「日本の物ならICHIGO」の、実現に向けて
ICHIGOは現在、主力商品の「TOKYO TREAT」を筆頭に、和菓子の「Sakuraco」、キャラクターグッズを詰め合わせたボックス「YumeTwins」、自社開発したUFOキャッチャーアプリゲームなど6事業を展開。1年ごとに新規サービスを立ち上げている。
今後の目標は、アップセル展開とボックスのカスタマイズ化。事業拡大の時期に入った今、ベンチャーキャピタルからの資金調達も選択肢として視野に入れている。将来的には、「『日本の物を買うなら、ICHIGOのアプリ』と世界で認知される企業になる」こと。「会社経営はやればやるだけ、絶対に伸びる」と話す近本にとって、その目標の実現も、あとひと押しなのかもしれない。