東海道新幹線の車内販売を手掛けるジェイアール東海パッセンジャーズでは、コーヒーを「車内販売で最も重要なアイテム」と位置付け、開発や販売に大きく力を入れている。コロナ禍で全体の売上は減少したものの、ホットコーヒーは月に約10万杯売れているというから驚きだ(2021年4〜6月期データ)。
今年7月には、3段階で焙煎した豆をブレンドした新アイスコーヒーの発売も開始している。
コロナ禍でも移動をしなければならない利用者にとって、移動時間を少しでも快適に過ごすために、コーヒーの存在は欠かせないだろう。
では、空の移動をつかさどる飛行機の機内コーヒー事情はどうなっているのだろうか。
いつ乗っても味わえる、「冷めても美味しいコーヒー」
JALには、同社でしか飲めないオリジナルコーヒーを提供するサービス「JAL CAFÉ LINES」がある。コーヒー豆の輸入販売を行うミカフェート代表取締役であり、コーヒー栽培技師である川島良彰氏協力のもと開発された本格コーヒーを提供している。
コーヒーの種類は各クラスによって異なる。国際線ファーストクラスでは「Grand Cru Café」と称した農園、精選技術、包装形態に至る全工程に厳格な基準を設けた上質なコーヒーが提供されている。フレンチプレスで注文ごとに淹れているため、安定した美味しさと温かいまま飲むことができる。
国際線ビジネスクラス・国内線ファーストクラスでは、「COFFEE HUNTERS」という希少性の高い品種や、独自の精選方法で栽培されたコーヒーを味わうことができる。
JALの国際線ビジネスクラス機内。2012年3月撮影(Getty Images/Stephen Brashear)
国際線・国内線エコノミークラスでは、後味がクリアなコーヒーが提供されている。「いつ乗っても味わえる、いつものJALの味」がコンセプトになっているという。
気圧の低い機内で、美味しいコーヒーを抽出することは非常に難しいという。さらに、機内は通常、涼しく乾燥しているため、温かいコーヒーを用意しても冷めてしまうのが早い。
JAL CAFÉ LINESでは、「冷めても美味しいコーヒーは本当に美味しいコーヒーである」という考えのもと、使用するコーヒー豆自体を高品質なものにすることで、いつ飲んでも美味しいコーヒーの提供を可能にしているのだという。
また、JALでは2011年より、国際線・国内線エコノミークラスの全路線にて、レインフォレスト・アライアンス認証(環境保全と持続可能な生活の確保を目標にする制度。厳格な基準を満たした農園に与えられる)のコーヒーを提供し、責任ある調達にも取り組んでいる。