デルタ×スタバ カップへのこだわりも
デルタ航空は2013年より、一部の米国内線でスターバックス コーヒーの提供を開始した。2015年2月からは、すべての国際線でスターバックス コーヒーを提供している。
全クラス共通で提供されているのは、スターバックス(R)のパイクプレイス ロースト(Starbucks Pike Place Roast)と、カフェインが苦手な顧客のために導入されたスターバックス ヴィア(R)のイタリアンローストデカフェ(Starbucks VIA Ready Brew Italian Roast decaf)だ。長距離国際線のデルタ・ワン(国際線ビジネスクラス)では、エスプレッソも提供されている。
カップにもこだわりがあり、デルタ・ワンでは、イタリアを代表するデザイン・ホームプロダクトブランドAlessiがデルタ航空用にデザインしたコーヒーカップで提供される。
Alessiがデザインしたデルタ航空用コーヒーカップ(写真提供:デルタ)
そのほかの客室では、コーヒーが冷めないよう二重構造の紙カップ(スターバックスとデルタのロゴ入り)で提供されている。
デルタ航空機内で提供されるコーヒー。スターバックスとデルタのロゴ入りの二重構造紙カップ(写真提供:デルタ航空)。
また、デルタ航空ではすべての国際線のみならず、全米に50カ所ある空港ラウンジ「デルタ スカイクラブ」でもスターバックスのコーヒーを採用しているという。
空港ラウンジ「デルタ スカイクラブ」。ここでもスターバックス コーヒーを提供している(写真提供:デルタ航空)。
ANAが考える、コーヒーが担う役割
ANAでは、国際線ファーストクラス、国際線ビジネスクラス・国内線プレミアムクラスにおいて、ともにブラジル産100%のコーヒーを、国際線エコノミークラス・国内線普通席ではブラジル産80%・ベトナム産20%のコーヒーが提供されている。
同社でも、多くの人がコーヒーを楽しめるよう全クラスにデカフェを用意している。また、採用しているコーヒーはレインフォレスト・アライアンス認証を受けているものだという。
ANA CX推進室商品企画部担当者は、機内コーヒーがもつ役割についてこう話す。「お客様によって年齢層、過ごし方、嗜好、飛行機を利用する理由はさまざまです。機内での過ごし方も人それぞれだと思いますが、食事の締めくくりに、リフレッシュに、落ち着きたいときにと、コーヒーが担う役割は大きいと思っています」。
スタバのシェアは? 質の高いコーヒー需要の増加
ちなみにコーヒーチェーン最大手、スターバックスの市場シェアは、10月28日に米スターバックスが発表した2021年7~9月期決算では、純利益が前年同期の4.5倍の17億6400万ドル(約2000億円)という結果になっている。これには、店内飲食の再開などで、既存店売上高が同17%伸びたことも寄与しているという。
ケビン・ジョンソン同社CEOは、「消費者の需要は大きい。今が転換点だと思っている」と話す(Starbucks’ pace of recovery fails to appease Wall Street/BNNBloomberg)。
実際にコロナ禍において、コーヒーの需要は高まっている。日本コカ・コーラによると、国内コーヒー市場は約3兆円あり、とくに非RTD(手淹れコーヒー)消費は前年比約10%増加している。
コロナ禍による巣篭もり需要で、じっくり味わえる本格コーヒーを嗜好したいというニーズが増えたと考えられる。
質の高いコーヒーが提供されることによって、機内でのエクスペリエンスはより向上するだろう。コーヒー自体の需要が高まるなか、航空会社各社もその重要性を理解し、コロナ禍の移動にプラスの価値を与えてくれていることは間違いない。