「すべての出産を明るい光の下で(lighting every birth)」という目標を掲げているが、それを達成するためにはやるべきことがまだまだ山積していることを、スタチェルは知っている。
世界保健機関(WHO)の推定では、出産時に命を落とす女性の数は毎年30万人を超える。しかし、自分が50歳をゆうに過ぎてから成し遂げたインパクトによって、多忙な産科医としてのキャリアを台無しにした椎間板変性に対する見方が変わった、とスタチェルは述べる。
「キャリアにとって最低最悪の挫折だと考えていたことが、結局は、心をさらに高ぶらせてくれるキャリアへの扉を開いてくれたのだと思います」とスタチェルは言う。
「私は、赤ちゃんを取り上げる仕事を心から愛していました。患者と1対1で向き合える仕事が大好きでした。でもいまでは、文字どおり何百万人もの人々の命に触れることができています」
(c)We Care Sola
自分の人生は変わったけれど、ある意味では、オンコールの産科医だったころと何ひとつ変わっていないと、スタチェルは考えている。
「私は以前、世界で最も厳しい仕事のひとつである産婦人科医として、人間の生死に立ち向かっていました。けれども、次に就いた仕事もまた、国際的な非営利団体を運営するというきわめて責任の重い職業でした。看護師から、新しい入院患者についての指示を求める電話は、もうかかってきません。でもいまはアフリカから、We Care Solarに関する質問や提携を求める電話がかかってきます。ですから、昼夜なく働いていることに変わりはないのです」