2020年初めには予期していなかったパンデミックは、アフリカのテックベンチャー業界にも大きな打撃をもたらしたが、アーリー期のスタートアップに対する投資案件が大幅に増加するなど、前向きな結果も報告されている。主要国の状況からみる、アフリカテックベンチャーの最新動向とは。
ベンチャー投資の最新動向
2020年、アフリカのテックベンチャーのエクティ投資案件数は前年比で44%増加。一方、平均の投資サイズは60%縮小し、全体VC投資額は前年比で29%マイナスの14.3億ドルであった(Partech社による調査報告書「2020 Africa Tech Venture Capital Report」参照)。
これはシード・アーリー期のスタートアップに対する小型案件が増加したことに起因している。シード期の案件数は、前年の127件から228件へと大幅に増加。全体の投資額の割合でいうと前年の7.5%から22%へと変化した。
この傾向はアフリカ独自のものだ。グローバルのベンチャー投資は、パンデミックの影響があったにも関わらず増加。全体のVC投資額は前年比で4%増加した。増加はグロース期のスタートアップに対する大型投資案件に起因したもので、シード期やエンジェル投資は大幅に減少した。Crunchbaseの記事によると、シリーズC以降のベンチャー投資は前年比で8%増加した。
世界銀行は2020年、世界の経済成長は4.3%縮小したと報告している。サブサハラ・アフリカにおける海外直接投資額は、前年比で18%減少したと推定されるのに対し、ベンチャー投資額の減少率は11ポイント下回った。アフリカに対するベンチャー投資は世界シェアの1%にも満たないとされている。
パンデミックの影響で、仕事、教育、買い物などの日常生活に必要なサービスのオンライン化が加速し、いま改めてテックベンチャーに投資が集中するというグローバルな傾向があるなか、アフリカ市場はいまだ過小評価されているというのが、アフリカリーナの見解だ。
報告書では、アフリカのテックベンチャー投資は非公開案件なども多く、業界内の各種報告数字自体にも差異がみられるという課題も指摘されている。投資案件の公開は、スタートアップのPRになるだけでなく、アフリカ全体のスタートアップの盛り上がりを後押しするという可能性にもつながる。