テクノロジー

2021.11.08 12:30

「感情認識AI」で表情訓練 好かれる営業、プレゼンに効くアプリ


感情認識AI技術がもたらす新しい日常


感情認識AI技術の活用は、表情訓練だけにとどまらない。

例えば、CACではオンライン会議上で感情やリアクションなどが共有できる「心sensor for Communication」も提供している。 ZoomやTeamsなどを使ったオンライン会議でカメラをオフにしていても、仮想カメラで表情やジェスチャーを読み取ることができるというものだ。

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「心sensor for Communication」メイン画面。認識した参加者の状態をアバターに反映し、Web会議ツールに表示する

また、OKIと日本サブウェイ合同会社(以下、サブウェイ)は、今年8月にAIを用いた感情推定技術を活用した「提案型注文システム」の実証実験をサブウェイ店舗で実施している。

「提案型注文システム」とは、セルフ注文端末のカメラから表情データと視線データを得て、AIを用いた独自のアルゴリズムで客に興味・関心が高そうなおすすめメニューを提案するというシステムだ。メニュー選択時の迷いの解消、注文をサポートすることによる「注文の仕方がわからない」という客の緊張や焦りの緩和、接客業務の効率化、ウィズコロナ時代に求められる非対面・非接触操作による注文の有用性の検証を目的として実証実験は行われた。

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サブウェイ店舗で実施されている、AIを用いた感情推定技術を活用した「提案型注文システム」

コロナ禍下であることを考慮して、実証実験は平日5日間3時間で実施されている。この実証実験において、感情推定技術を活用したAIのおすすめ注文を評価した実験参加者は155名だった。参加者のアンケートにおいて、AIのおすすめ注文は「メニューが多い場合、決めるのがプレッシャーなので助かる」「店員に気を遣わずに注文できる」など高評価であったという。

実証実験の結果、AI精度は7割強、実験参加者に「AIにおすすめされる」ということに対する大きな抵抗感は見られなかった。OKIは、来年2~3月頃にも別の事業で再び実証実験を行うことを予定している。

AIを用いた感情推定技術は、例えば駅のキオスク端末で興味・関心推定を利用して観光や食事などの情報提供を行ったり、スーパーやコンビニなどのセルフレジで困り推定を利用して操作がうまくいかずに困っている人を支援するといったことにも活用が考えられるという。

機械やAIでは人間の感情に寄り添うことはできないという考え方は、今や過去のものになろうとしている。AIが人の感情を人以上に推定・認識してサポートをしてくれる、感情認識AI技術がもたらすそんな新しい日常がすぐそこまで来ているようだ。

文=アステル 編集=石井節子

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