教壇に立って感じたことは、大人はもっと失敗を語って良いということです。世の中には、「プライベートは無かったこと」にして働いている人が多いように見えます。一見バリバリ仕事に打ち込んでいるように見える人にも、実は親の介護や身内の病気で忙しい生活を送っているかもしれません。
綺麗に整えられた側面しか普段見えていないだけで、トゲがあったり、ゴツゴツしたり、人には色んな側面があります。もちろんそうなると、働く社会人を見る学生の目にも、キラキラした側面しか映りません。
Getty Images
過去に、女性の働き方のロールモデルについて話していた時、「私はそんなに頑張れる自信がないし、あんなにキラキラできない」と将来を心配する学生もいました。例えば私の場合、「やっちまった」経験や失敗なんか、たくさんあります。美しいところばかり見せていると、相手の想像力が働かない。どんなに成功した人にもドロドロした過去や失敗の経験があり、ここが一番、人生の先輩から若者へ語られるべき部分ではないかと思います。
だから私も、学生の前ではできるだけ失敗談を語るようにしていました。
「DJマユミ」はなぜ聴衆を惹きつけたのか
どんなに朝が早くても、学生に「出席したい」と思わせた伝説の講義。谷口氏の授業は常に「学生を巻き込んだ」方法で行われていた。目が合った学生に話を振ってみて、本質的な議論があればどんどん展開していった。インタラクティブな授業であることによって、学生に授業の内容を自然に自分ごととして捉えさせ、想像力を働かす機会を与えた。
谷口真由美氏の講義が阪大の伝説講義として語り継がれるのは、そこにDJマユミならではの「課題を問う力」と「本質に立ち返る考え方」があったゆえだろう。問題解決の必要性に日々迫られるビジネスパーソンも、谷口氏独自の哲学やアドバイスから学べるものは少なくなさそうだ。