一限目でも欠席なし。阪大・伝説の恋愛講義「冒頭10分の秘密」とは

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15年も授業をしていると、学生たちの考えにも変化がありました。例えば、阪大で授業を始めた頃は専業主婦を求める男子学生が多かったです。2015年頃からでしょうか、その頃にもなると女性活躍のムーブメントがメディアで取り上げられたり、男女平等にまつわるニュースが多く出たり、社会的な変化も影響し「働く女性と結婚したい」と答える学生が増えたように思えます。

いまや共働きの概念が学生の間でも一般的になりましたが、とりわけ阪大の学生の親御さんには、専業主婦のお母さんが多かったような感じでした。かつて、専業主婦を求める学生に、次のように学生に向けて話したことがあります。

「専業主婦になってくれるパートナーを求める男子。主夫を求める女子もいるかもしれんけどね、例えば、リスクヘッジの視点で考えてみ。一輪車で働いていると『しんどい』と言えなくなるよ。両輪で生きていたら、つまり共働きなら、あなたがしんどくて休みたくなった時、立ち止まりたい時にはパートナーが働いているので、ある意味安心して休めるんちゃうかな。

日本はOECD諸国の中でも、30-50代の男性の自死率がかなり高い。女性に専業主婦であることを求めて、自らが休めないという状況を作ることは、相手の『自立の自由』を奪うだけでなく、それを求めている男性にとっても、自分の首を絞めることになりかねないってことちゃうかな」

一輪車で働くということは、パートナーに弱みを見せられなくなるということです。ましてやお子さんができたら……。自らが「自立した人間」になるのは当たり前のこととして、同時に相手の自立も同様に認めないと、みんなにとって不幸な結果がもたらされかねないと思います。

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谷口真由美氏

解答用紙には「面白いこと必須」の難題も


「DJマユミの恋愛相談」も回答が様々で面白かったのですが、テストでも学生の個性がよく見えて非常に興味深かったです。

私は、学期末のテストの最後に「300枚近く採点する谷口のために、何か面白いことを書いてください」というコーナーを設けていました。

すると、学生から「先生のおかげで、彼女に思い切って考えを伝えてみました」や「好きな子に告白しました!」、「虐待やDVなど、聞いたことがなかったのですが、たくさん調べて学ぶきっかけになりました」など、短いコーナーではあったものの学生一人ひとりの人生や考え方に影響があったことが垣間見られることもあって、非常に嬉しかったです。
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文=裵麗善/Ryoseon Bae 編集=石井節子

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