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シェフが繋ぐ食の未来

江森宏之氏が手がける「メゾンジブレー」のケーキ

東急田園都市線・中央林間駅から徒歩5分の立地にある「メゾンジブレー」。週末ともなると、親子連れやカップル、若い女性のスイーツマニアまでが行列を作る。午前中から夕方まで途切れない客足に、この店がいかに地元に根付き、愛されているのかがよくわかる。

お客さんたちに気さくに挨拶するオーナーシェフの江森宏之氏は、実は、2015年のミラノ万博の際のチョコレートとアイスクリームのワールドカップにおいて、キャプテンとしてチームジャパンを優勝に導いた経験も持つ実力者だ。


メゾンジブレー

ショーケースには、旬のフルーツが零れ落ちんばかりに盛られた色鮮やかなケーキが常時30種類以上並び、となりのジェラートケースには10種以上のジェラートがおさめられている。それとは別にフランス語で“氷菓”を意味するジブレーの店名の通り、アイスケーキという艶やかなアントルメがケースに飾られ、店内を華やかに彩っている。

それらのケーキやアイスに使われている果実は、なんと年間を通して200以上。それもほとんどが、生産者の顔を知る農園から仕入れている。うち40以上の農園には毎年足を運ぶというのだから、江森氏が精力的なことには驚かされる。多くのパティスリーが、大田市場や八百屋から仕入れたものを使っている現状を考えると特異な例と言えるだろう。

「根っから生産者が好きなんですよね。産地に行くことでもらえるインスピレーションって、すごく大きいんです。あとは、この人とやりたいという人との付き合い。生産者の情熱を知ると、フルーツの持ち味を100%生かしながら、生で食べるのとは違う喜びを伝えられる作品に仕上げたいと思えますね」と、江森氏は産地に直に触れることの大切さを説く。

実は、日本は諸外国に比べて果実の消費量が少なく、廃業に瀕している農園や、もしくはブランド価値を落とせないために2級品の行き場がなく、大量の果実を廃棄せざるを得ないなど、問題を抱えている農園が多い。江森氏は自治体と協力して、そうした日本の果樹栽培に関する問題解決のための一つのビジネスモデルを造り上げてきた。


フルーツの生産者と。左が江森シェフ

地方自治体との取り組みの経緯を知るには、江森氏のプロフィールをひも解くのがわかりやすいだろう。

文=小松宏子

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