30U30

2021.10.26 12:00

舞台がハリウッドでも変わらない 忽那汐里が挑戦を続けるシンプルな理由

俳優 忽那汐里

次代を牽引する新しいリーダーを発掘し、ビジネスからサイエンス、スポーツ、アートなど多彩なジャンルから30人の才能に光をあて、その活動をForbes JAPANとしてエンカレッジしていくことを目的としている「30 UNDER 30 JAPAN」。

今年、各分野に精通した専門家や業界オーソリティ、過去受賞者で構成されるアドバイザリーボードと編集部で審査を行い、エンタテイメント部門の受賞者として選出されたのが、忽那汐里だ。



「この数年で、大きな環境の変化があったので、等身大のいまの自分を伝えようと思いました」。忽那汐里はポートレート写真に込めた思いをこう口にした。

オーストラリアに生まれ、14歳で日本に移住し、俳優の仕事を始めた。2018年には映画『デッドプール2』でハリウッド本格進出を果たすなど、グローバルに活躍する忽那。自分と対話し、自らが望む道を開き続ける。そこにはデビュー当時から変わらない仕事への情熱と、「より良く生きる」ことへの思いがあった。


──俳優として重視していることは?

自分がいいと思う作品を選び、共感できる部分やメッセージを伝え続けること。シンプルですが、正直それしかないです。昔から、自分が出る作品に対する責任感は強いです。たくさんの情報であふれているいま、芯がある作品でないと、人に届かないし、残らない。究極、つくらなくて済むならそのほうがいい作品もあるのではないかと。だから、どの作品に出るかは脚本をじっくり読んで決めます。

海外作品に出演するようになって3年、ようやくいろいろなチャンスが巡ってくるようになりましたが、仕事への向き合い方や目標はずっと変わっていません。

──海外進出は大きな決断だった?

挑戦する舞台が変わっただけなので、大きな決断をしたという意識はないです。自分とは違う視点をもつ人たちともお仕事がしたいという思いの延長線上に、ハリウッドがありました。もちろん、海外で仕事をするうえでの苦労はあります。ハリウッド作品に出演するためには、オーディションで役を勝ち取る必要があるので、受からなければ仕事はない。覚悟は必要でしたが、迷いやためらいはありませんでした。

──ハリウッドで得た気づきや学びは?

役者を続けるためには、演技以外にもやるべき仕事が多いこと。日本で芸能事務所に所属していたときは社員という感覚が強かったのですが、アメリカでは役者が弁護士やマネジメントチームやエージェントを雇うのが一般的です。私もマネジメント会社や弁護士の方と直接契約しています。

もともと、契約ごとに無頓着で、日本にいたころは「いい作品ができればいい」と無邪気に思っていましたが、アメリカではそうもいかない。契約交渉の仕方なども含めて、俳優としてあらためて教育してもらっていると思います。
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文=瀬戸久美子 写真=映美 スタイリング=櫻井まさえ ヘアメイク=山田典良

この記事は 「Forbes JAPAN No.088 2021年12月号(2021/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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