アダニ・グリーン・エナジーは、5月にSBエナジー・インディアを現金で買収する契約を締結していた。その当時、SBエナジー社は、孫正義のソフトバンクが80%、インドの富豪のスニル・バーティ・ミタルのバーティ・グループが20%を保有する合弁会社だった。
アダニ社は、今回の買収により、再生可能エネルギーの世界的リーダーを目指す同社に、5GWの再生可能エネルギー容量が加わることになると述べている。
SBエナジー社は、特別目的会社を通じてインドの4つの州でエネルギー資産を保有しており、その内訳は、運用中の再生可能エネルギー資産が1.7 GW 、建設中のプロジェクトが2.5 GW、建設間近の資産が700 MW という。そのうち84%がソーラーで、風力とソーラーのハイブリッドが9%、風力が7%とされている。
「今回の取引は、カーボンニュートラルな未来への移行を目指す当社の意図を示すものだ」と、アダニ社のマネージングディレクター兼CEOのVneet S. Jaainは述べた。
インド政府は、現在約100GWの再生可能エネルギー容量を、2030年までに450GWにすることを目指している。調査企業CRISIL Infrastructure AdvisoryのVivek Sharmaは、再生可能エネルギー分野は、世界的に投資家の関心が高い分野だと述べている。
インドの大手企業であるリライアンス・インダストリーズとアダニ・グループの2社は、この分野に巨額の投資を行っている。アダニ・グループ会長のゴータム・アダニは先週、今後10年間で200億ドルをグリーンエネルギー関連に投資する意向を表明した。2025年までに予定されている同グループの資本支出のうち、75%近くがグリーンテクノロジーへの投資になるという。
一方、今年6月に、アジアで最も裕福な人物であるリライアンス・インダストリーズ会長のムケシュ・アンバニは、石油化学で知られる同社の軸足をクリーンエネルギーに移すという野心的な計画を発表した。同社は、100億ドルを投じて4つの「ギガファクトリー」を建設し、バッテリー関連のインフラを整備することで、2035年までにカーボンゼロ企業になることを目指している。